JULY . 2019

 韓国によるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄は、日米韓三国体制を否定する決定だっただけに、日本とアメリカに大きな衝撃をもたらした。しかし、アメリカの厳しい批判もよそに、韓国はさらに竹島での軍事演習を行うなど、反日政策は底なしだが、行きすぎた反日のために自らの首を絞めるという滑稽な事態に至っている。

 発端は、韓国が日本からの輸入資源を、北朝鮮へ横流ししていた疑惑が浮上したためで、実情報告と是正を求めた日本の要請を無視したことから、韓国をホワイトリストから除外し、輸出手続きの簡素化を取り止めたことへの逆恨みである。

 世界が核保有国として危険視する北朝鮮に、核物質の生成に必要な原料をこっそり供給していたのがバレたのだから、日本側の処置は当然である。のみならず、日本に派遣し作戦中だったイギリス海軍のモントローズ号が、東シナ海で漁船に偽装した北朝鮮のタンカーが背取りをしているところを発見した。イギリス政府は、供給者側の船籍については公表を避けたが、韓国籍である疑いは濃厚である。これだけ疑わしい傍証も揃っているのであるから、日本をはじめ世界が警戒するのは当然だが、自省という概念も観念もない韓国民と政府には、逆恨みと反抗の感情しかないらしい。まるで反抗期の少年を見る思いだ。

 これを切っ掛けに、韓国内では日本製品不買運動をはじめ、ありとあらゆる政府による反日政策と、国民の反日運動が高まっている。韓国内のスーパーからは日本製品が撤去され、ガソリンスタンドは日本車への給油を拒否。レストランは日本人の立入を禁止。さらには、反日の対象は紙幣や国歌にも及び、紙幣に描かれている肖像画は、いずれも歴史的に日本と関わりの深い人物であり、国歌は日韓併合時に作成されたことを理由に反感が高まっているという。国民は日本に敵意を向け、排除することに自己陶酔しているように見える。

 ところが、こうした行きすぎた反日政策と反日運動で困っているのが、実は自国民なのであり、自らの首を絞めるという奇妙な状況が生じている。たとえば、不買運動に加担する気がなく、日常的に日本製品を愛用してきた韓国消費者にとっては、スーパーの棚から撤去されたのでは、不買運動を強制されているようなものである。SSで給油拒否されて困るのは、日本車オーナーの韓国民である。レストランでの日本人お断りで、売上に響くのは店側であり、地域の観光産業でもある。

 かつて、反日暴動が加熱した時期に、安全性を懸念した日本人が韓国旅行を控えるよになり、また日本国内で「謝罪ツアー」と揶揄された高等学校の韓国への修学旅行が、南北緊張関係の高まりにより、中断が相次いだことで、明洞や南大門は日本人観光客の姿が消えて、閑古鳥が啼く状況に陥った。これで悲鳴を上げたのは、地元の物産展やホテル、レストランである。

 反面、それと入れ替わりで増えたのが、中国からの観光客だった。しかし、とかくマナー意識の低さが問題視されるおのぼりさんの激増に、韓国内ではそれを嫌悪する声も聞かれ始めた。その挙げ句に「もう一度、日本人を呼び戻そう」などといった、ムシの良い主張も飛び出した。

 そうした反日の先陣を切っている文政権は、中韓首脳会談の訪中時では、VIP待遇としての出迎えもなく、ホテルの朝食はサンドイッチと豆乳。北朝鮮からは「南北首脳会談の必要はない」と存在意義を否定され、アメリカからは「米韓合同軍事演習はムダ」と否定され、日本からはホワイトリストから除外。国際社会での立場は孤立化の一途だ。のみならず、日韓関係を深刻化させ、経済危機まで招いていることに、国内でも批判が高まっている。

 支持率の回復・維持のために残された窮余の策は、もはや反日しかなくなっているのは明白だが、その背後では北朝鮮が韓国を射程内とする短距離ミサイルの発射実験を繰り返している。GSOMIA破棄で、北朝鮮は今後さらに勢いづくだろう。韓国の孤立化に付け込んで、背後から狙われている状況下にあって、果たして竹島で軍事演習をしている場合なのだろうか。




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