MAY . 2016

 東日本大震災から5年が過ぎたこの4月に、再び悪夢が熊本を襲った。被害状況は東日本大震災や、それ以前の阪神大震災ほどではないようだが、被災地住民の安全と早急な復興を祈りたい。

 熊本地震から日を置かずして、南米エクアドルでも大規模地震が発生した。マグニチュードは7.8であるから熊本よりも大規模で、犠牲者は死者が350人、負傷者が2,000人に上り、コレア大統領が非常事態宣言を発令した。

 地震が少ない九州とは言いつつ、そこまで犠牲者が出なかったのは、地震慣れしている日本の特性だろうか。旧式の木造家屋は一階部分が潰れたが、近代建築の建物に大きな被害がないのは、厳しい建築基準に基づく耐震性能のお陰でもあるだろう。コンクリートが人を守る恩恵と言え、こうした建築技術は後進国にも輸出し、普及・拡大する必要があるだろう。

 ただ、報道では地震学の専門家達が、地震のパターンについて様々に疑問を呈しており、本震の後に、震源地が熊本から大分県に移動して、再び本震が発生していることを不審点としている。このためか、ネット上ではその地震波の波形について、防災科学技術研究所が公開している強震観測網「K-NET」の公式データを提示し、通常の自然災害としての地震は小さな初期微動となるP波の後に、大きな揺れとなるS波が観測されるのに、熊本地震ではいきなりS波が発生していることを指摘し、自然現象としての地震と見るにはあまりに不自然で、既存の地震学では説明できないとしている。

 実は、この波形は東北震災や、さらには阪神淡路大震災でも見られたとのことで、そのために地震学者は構造が解明できず、事実上はお手上げ状態だったという。

 この波形が、かつての東西冷戦時代に、米ソが行ってきた地下核実験に伴って発生した地震波と酷似しているため、自然災害ではなく人為的ではないかといった不穏な仮設がネット上で話題になっている。

 例えば、ロシアではノヴァヤゼムリャの北島で、1973年9月に行われた核出力4.2Mtの地下核実験でマグニチュード6.97の揺れが発生し、一方、アメリカでは1971年から72年にかけて、グロメット作戦と称されて行なわれたアムチトカ島での地下核実験では、W71核弾頭が使用され、これに伴ってマグニチュード7.0に相当する人工地震が記録されており、これらの波形は熊本地震の波形とそっくりであるという。

 自然災害と思い込んできた庶民感覚では、俄には信じがたいが、これについては2011年7月の衆院東日本大震災復興特別委で、浜田復興担当政務官が「人工地震は世界的に軍事上の常識」と答弁しており、政府としてもその存在を認めている。かつて、本誌インタビューで取り上げた地震予知学会の力武恒次会長は、「地震予知とはいっても、今の科学では完全な予知は不可能」と人知の限界を表明していたが、こうした背景を認識していたのかも知れない。

 誰が何のために、そんな遠大な真似をするのかはさておき、我々は地震に対する従来の認識を改める必要があるのかも知れない。




過去の路地裏問答