January.2011


 12月12日投票の茨城県議選で、またも民主は惨敗した。支持率が25%を下回る情勢では十分に予想されたことだが、政権交代となった昨年の衆院選と、その直前に行われた東京都議選を除けば、政権発足後に行われた公職選挙はほとんどが民主の敗北に終わっている。これは異常事態というべきで、いよいよ国民による政権の再選択と、内閣再構築の必要性が高くなっていると見るべきだろう。
 今回の県議選に限らず、昨年に行われた各種公職選挙の結果を見れば、来春の統一地方選の展望は民主に拓かれていないことくらい誰でも分かる。前号でも触れたが、立法は衆参のねじれで機能麻痺している上に、国政と地方自治もねじれてしまえば、行政においても円滑な展開が望めなくなる。沖縄・普天間基地問題をめぐる県と国の対立、八つ場ダム建設をめぐる一都六県と国との膠着状態などは、象徴的な事例と言えるだろう。
 ところが公職選挙が終わるたびに、民主党内は小沢陣営による党執行部への敗北責任追及と、これに対抗して敗因を資金問題に集約して小沢陣営を非難する執行部との内紛ばかりが露呈した。そして、それを冷静に見ている国民は白けてしまい、またも支持が離れていく。
 そもそも支持率低下は、資金問題だけが原因ではなく、歳入と歳出の整合性もないままに、思いつきで政策執行する内政への疑問と、日米同盟に亀裂を入れて、中ロによる領土侵攻の危険性を高めてしまった危うい外交に、これ以上は任せられないとの思いが反映した結果だろう。
 それでも政権はこれを率直に受け容れたくないのか、菅総理は「支持率が1%になっても…」と漏らしたとか。そこで国政運営については、過半数確保のために社民党との連携で急場を凌ごうとしているが、かえって足下を見られて無理難題を突きつけられ、前進も後退ままならない状態にある。公明は支持率凋落の先にある事態を見越して、連携は拒否している。逆に、小沢前幹事長の資金問題がこじれれば、一団を率いての集団離党となる可能性もある。いまや、どちらに転んでも国政運営の行き詰まりは見えている状況だ。
 その弱味につけ込んだように、今さらになって森元首相が自、民連立を匂わせるような、助け船とも取れる素振りを見せている。一方、小沢幹事長はすでに離党後を見越しているのか、少数野党に秋波を送り、またぞろ第三局の構築に向けた準備かとも思える動勢を見せている。
 我が国の国政は、こうして党利党略の多数派工作に明け暮れ、国民生活の明日は置き去りにされたままだ。警察庁の統計によると、自殺者数が過去13年連続で3万人を越えたという。失踪者なども含めると、実態はさらに多いだろう。自民政権時代も含めて、1年間に3万人が絶望し、自らの命を絶つ政治とはどんなものだろうか。戦争、疫病、災害でもあるまいに、これでは13年間にわたって災いが続いているようなものである。「苛政は虎よりも猛なり」と言うが、かくして苛政の寅年は幕を閉じた。
 新年の卯年は早々と衆院解散し、もう一度、政権を選択し直して、不毛な浪費政策を改め、有効な再投資と拡大再生産、そして雇用を生み出していく内需拡大策に、適切に予算配分できるような、まともな新政権の発足を願いたい。


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