MARCH.2012

 国内外とも財政破綻の懸念や社会保障崩壊の不安など、お先真っ暗なニュースばかりで溢れているが、その一方で、開闢以来の大好転を予感させる明るいニュースが報じられた。

 時事通信社が02月15日19:05に配信した記事で、それによると“石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は15日、愛知県渥美半島沖約70キロ、水深約1000メートルの沖合で、次世代のエネルギー資源として期待される「メタンハイドレート」の海洋産出試験に向けた掘削作業を始めた。今後約40日かけて計4本の井戸を掘り、来年1月から3月にかけて深海底からの世界初の産出を目指す。”という。商用化の目標は2018年度であるから、今回は日本単独による海洋からの試験算出の第一歩ということになる。

 メタンハイドレートとは、メタンと複数の水分子が結合した氷状の物質で、1m3を解凍した場合、164m3分のメタンガスが得られるという。アメリカの調査によると、分布は中南米や日本周辺に偏在しており、埋蔵量は天然ガスの総埋蔵量145兆m3に対して、陸域で数十兆m3、海域では数千兆m3と天文学的な単位であり、ほぼ無尽蔵に近い。

 日本の場合は、東海地方沖から宮崎県沖北側に位置する南海トラフと北海道周辺海域に7兆m3が存在するとのことで、天然ガス使用量のおよそ100年分に相当するという。

 ただし、燃焼させた場合は石油、石炭の半分ではあるが、CO2の発生は避けられないため、風力や太陽光による発電に比べると、完璧なクリーンエネルギーとは言い切れない。また、掘削に伴う振動により、地震の誘発を指摘する声もあるという。しかし、ほぼ無尽蔵に近い埋蔵量は大きな魅力だ。

 この他にも、我が国のエネルギー自立に向けての取り組みは様々に行われており、例えば渓流や水路の水流を利用して水車を回転させる小水力発電や、海流そのものを発電に利用しようという海流発電、温泉や工場の温排水を発電に利用する温泉発電、太陽光で温度が上昇した海面の温水と、深海の冷水との温度差を利用する海洋温度差発電、振動を発電の動力源とする振動力発電など、様々な発電技術の研究が進められ、商用化に向けて着実な歩みを続けている。

 さらに、メタンハイドレートと並ぶ原油代替エネルギーと目されているのが藻油で、石油は藻が化学的に変化したものとの学説に基づき、これを石油として代用する技術が研究されている。石油として代用できるのであるから、プラスチックなどの石油化学製品の製造も可能で、これが実用化すれば、エネルギーのみならず資源不足の問題も解決する。

 しかも、生産コストは1Lにつき50〜100円程度と低く、1haあたりの生産量は年間1,000tだが、生産技術の進歩によって1万tにまで向上させることは可能だという。日本の年間原油輸入量はおよそ2億tであるから、完全に代替するには2万haが必要となるが、これは全国の耕作放棄地のわずか5%でしかない。

 実用化にはさらに10年の試験研究と、1,000億円程度の設備投資が必要とされるが、実現した場合の収益は250兆円と試算されている。これを見ると、赤字国債850兆円などものの数でもなく、また日本国内の法制を米企業にねじ曲げられながら、10年もかかってわずか27兆円の利得しか想定されないTPPなど、論外ではないか。




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