NOVEMBER.2012

復興財源の流用問題を始め、田中法相の非合法団体関係者との交流関係や、在日外国人からの献金が与野党ともに発覚するなど、国会の混乱ぶりは目も当てられないカオス状態にある。野党は決算委員会で、問責決議案を視野に入れて田中法相の答弁を求めたが、肝心の本人は追及回避のために欠席し、委員会は紛糾。特例公債法案の成立の見通しもない中で、最高裁では2010年参院選に違憲判決を下すなど、立法府として公式に認定しない結論を示した。これほどの混迷状態で、現政権が現状維持のままに存続する意義は、どこにあるのか。

 復興財源の流用問題は、被災地関係者はもとより全国民の不興を買ったが、被災地ではいまだに瓦礫の処分が確定せずに残されたままであり、各県ともこれがネックとなって、復旧の目途はついたものの本格的な復興に向けては、いまだ国との設計協議の途上にある。具体的な工事発注は来年度以降となる見込みであるため、復興予算の手当は時期尚早だった感がある。

 しかし、予算に担保があるわけではなく、単年度ごとの措置となるため、発注官庁としては予算の返上に抵抗心もあったのではないか。むしろ政権発足以来、ミクロ政策に固執し、公共投資などのマクロ政策を徹底排除したことで、本来は予算措置すべきものに財源を配分しなかったことに事態の原因がある。全国の執行部局は、政策遂行はおろか、日常業務でさえも予算不足で不自由を強いられ、悲鳴を上げているのであるから、せっかく配分された予算が消化できないなら、こちらに回して欲しいと願望するのは、人情として理解できないことではない。

 政府は慌てて事業仕分けを始め、流用の実態を解明し、是正措置をとることとなったが、これを通じて官僚への責任転嫁の様相を呈している。しかし、その事態を招いた元の原因はどこにあるのか、決定を下した政権として自覚する必要があるだろう。

 こうした紛糾の中で、岡田副総理が景気対策のための補正予算案編成に着手した。政策として掲げる投資分野は、エネルギー、環境、農林分野などとなっているが、これもまた疑問符がつく。

 というのもエネルギーや環境は、景気対策としてではなく、先行投資によって気長に継続的に取り組む分野であって、景気回復のために集中投資したところで、カンフルとしての即効性は期待できない。一方、農林分野は水資源や食糧の自給率を高め、国土の保全と安全を維持していく上で、そもそもカットしてはならなかった分野であり、景気対策のために特別に投資する対象ではない。

 こうした思い込みや思いつきの政策に傾倒することで、またも投資結果がフイになったのでは困るからこそ、新年度予算の編成は任せられず、早期解散・年内投票を目指しているのが自公の考えるところだろう。いまや決定力も執行力もない政権であることは、隠しようもない事実として国内外に認識されているのであるから、「近いうちに」と発言した以上は潔い決断が必要ではないか。選挙を恐れて、解散を先延ばしにすればするほど支持率は下がり、当選1回の新人は特に再選の見込みが遠退くことを、党首の立場としては考慮すべきではないか。




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