FEBRUARY.2012

正月ムードも抜けて、いよいよ辰年である2012年の本格稼動である。2011年は大震災と原発事故に振り回され、政治も経済も停滞のどん底にあったが、今年は干支に相応しく、大地を蹴って昇り調子へ向かう年になって欲しいと切に願う。

 国内では、昨年の国会で問責決議が決定した2閣僚を更迭し、5閣僚が入れ替えとなった新内閣がスタートした。しかしながら、これは増税内閣と呼ばれ、所得水準の下がった国民経済にさらに負荷を加えるものでしかなく、国民の消費マインドを一層冷え込ませるものでしかない。

 かつての橋本内閣は、バブル崩壊のどん底から脱出の兆しが見え始めた景気を、拙速にも先取りして財政再建・消費税増税へと舵を切ったために、再び国民消費にブレーキがかかり、デフレ不況に逆戻りした。そうした過去の事例を見れば、景気対策すらも行われないまま同じことを強行すれば、そのマイナス効果がどれほどのものかは容易に想像がつくというもの。そのため、その是非を巡って内閣解散の日程も論議に上っている。

 一方、国外ではギリシャの3月デフォルト説が噂され、それに引っ張られる形でユーロ崩壊などという不気味な予言も囁かれている。以前ならば対岸の火事でしかなかったが、リーマンショックが世界を恐慌に貶めた事例に見られるとおり、英米が強引に進めたグローバル化のお陰で、他人事と楽観できる情勢ではなくなっている。

 しかも、景気浮揚策に失敗し、そこから立ち直れずにいる米政府は、韓国FTAやTPPなどの新戦略によって、アジアを食い物にする形での財源確保に向かわざるを得なくなっている。それでも米議会への不支持率は84%にも達し、その足枷を背負ったままオバマ大統領は改選を迎える。

 首脳改選はアメリカだけではなく、金正日総書記の死亡でトップが後継に世襲した北朝鮮をはじめ、中国、台湾、ロシア、韓国、イギリスなど、日本と利害の深い諸国も改選を控えている。かくして国内外の情勢は慌ただしく、これらがもたらす日本へのマイナス面ばかりが懸念され、年初早々から暗い気分になるが、しかしそればかりでもない。

 期待感を以て注目したいのは、三菱総合研究所が発表した「2012年の経済展望」で、東北震災にともなう復興需要が徐々に顕現化し、これが成長の押し上げに寄与し、ペースは緩慢ながらも回復に向かうとの観測である。

 それによると、我が国経済はユーロ問題、米財政問題など海外経済の減速や、高止まりのまま推移する為替などの外的な下押し圧力が加わる一方で、内部では東北復興のための補正予算執行にともうなう復興需要が牽引力となる。

 この両者のせめぎ合いの結果、最終的には牽引力が上回るものと予測しており、復旧・復興活動、関連需要の盛り上がりを足掛かりに、より広範な国内需要や生産、輸出面と回復の裾野を拡げながら、その勢いを強めていくと展望している。シビアな現実から目を背けるのではないが、できるならばこうした希望的観測に希望を見出しながら、反転の年となって欲しいものである。




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