JANUARY.2012

 我が国は3年半の民主政権に終わりを告げ、政権復帰を果たした自公による新政権下での新年を迎えた。この2013年は、建設業界にとっても新しい転機を迎える再生の年となるだろう。

 建設業界は、小泉政権による2005年の郵政改革、構造改革から民主政権にまたがり、7年にもわたる公共事業予算の徹底削減により、国内市場から事実上、閉め出される異例の扱いを受けてきた。
 原因は公共事業に対する批判ブームが切っ掛けで、その意義を否定することで著作が売れることを願い、講演依頼も増えることを期待した一部の学者と、それをセンセーショナルに報道することで注目を集めようとしたマスコミと、それを信じた国民の票を民主党が吸収する形で政権党となり、公共事業は徹底的に廃止され、これに伴って建設業は大手といわず地方中小業者といわず、次々と倒れていった。

 これによって起こったことは、発注・監督業務に当たる行政職員が削減され、工事量激減で地方建設業者も激減し、技術者、作業員が離職。企業倒産に伴い建設重機も激減。これが東北復興の足枷となり、復興予算は未消化で返上されたり、他地域に流用されるなどの事態も見られたが、その背景にはこうした人手不足、企業不足、重機・資材不足の現実があった。

 さらに全国規模で見るならば、構造物の劣化が進みながらも新旧更新は遅滞し、新規建設需要の消滅で、第一次産業や公共土木・建築が基幹産業となっている地方の経済は疲弊。このため、求職者は職を求めて都市部へ移動し、地方都市の過疎化が進んだ上に、折柄の円高・デフレ不況から企業は雇用を控えてきたため、失業者は増大。国民総所得が減少した分、生保受給者は増大し、また構造改革として行われた派遣労働法の適用拡大で、国内労働市場は低賃金の外国人に奪われ、高齢化の進展で年金支給額は増加していった。経済は循環しているため、建設業という一つの軸を外した結果、我が国経済は教科書のような展開を見せていた。

 こうした閉塞感の中で、新政権は日銀法改正でインフレ政策に着手すると同時に、その資金需要として公共事業が受け皿となり、国土強靱化法に基づき大規模なインフラ整備に着手することになる。国民の間にも、東北大震災に続き、昨年に発生した中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故により、防災対策や老朽インフラの更新への意識は高まり、無闇に公共事業を批判するムードは消えている。

 今年こそはいよいよ建設業の出番であり、建設経済の再生も期待される。公共事業とそれを形にする建設業の真価が、正当に評価される時代を迎えることとなり、今年はそのための新たな門出を祝う元年となるだろう。




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