JULY . 2017

「共謀罪」、「テロ等準備罪」を規定した国家安全保障基本法案の成立阻止のために、森友学園、加計学園問題で攻防した国会が、18日に閉幕した。強引な幕引きとの批判が報道されているが、我が国の置かれた状況を考えれば、今後の改正を視野に入れつつも、早期成立は必要不可欠だったと言えよう。

 犯罪の構成要件が曖昧で、庶民が監視されたり、捜査対象になると喧伝するが、社会の破壊、国家の転覆を目指すような危険な企てをしなければ良いことである。特定秘密保護法案の時もそうだが、個人の知る権利が制限されるといった、個人の権利の主張ばかりが目立つが、庶民が国家機密などを知ってどうするのか。知らなければ不利益でもあるのだろうか。我が国の安全を確保するための法案に、ことごとく反対する勢力は、国家機密を探り出し、その裏をかいたテロを企画したいというのだろうか。G2からいずれはG1体制を狙って洋上侵出を図り、領土・領海の拡大を狙う中国に手助けをしたいのだろうか。それこそは外患誘致罪ではないのか。素朴に考えれば、どの国にもある法が、無かったことの方が異常だったのである。

 現状とは異なる国体を目指し、新たな建国の理念を主張するなら分かるが、野党からは特に対案も見られず、単なる社会破壊を目指しているとしか見えない。イギリス、フランスを筆頭に、ヨーロッパ各地でテロが相次いでいる。幸いにして、我が国は今のところ宗教テロとは無縁だが、振り返ればテロや軍事侵攻とは、あながち無縁ではない。かつてオウム真理教の無差別テロがあり、三菱重工や北海道庁の爆破テロがあり、成田闘争、東大安田講堂の騒乱のほか、60年代、70年代には全共闘の騒乱が相次ぎ、挙げ句には主義主張の異なるセクト間の内ゲバという殺し合いにまで発展した。

 日本を訪問する外国人が年々、増えており「落とした財布や携帯が戻ってきた」、「治安が素晴らしい」と絶賛する声がネットで聞かれるが、一方ではアルカイダの工作員が日本に潜伏し、テロを企てていたものの、近隣の主婦らの素朴な親切心に触れて、実行するに忍びなくなり、中断したとの逸話も見られた。

 だが、現実には北朝鮮が毎週のようにミサイルを打ち上げ、日本海で操業する漁業者らが危険に曝されている。一部には、避難訓練を始めた地域もある。発射ボタンに触れているのは、年齢的にも外交的にも未熟な若き指導者であり、安穏としていられる状況にはない。2020年には、東京五輪を控えている。テロリストや軍事侵攻をも辞さない危険思想の持ち主にとっては、歪んだ思想をアピールする上で絶好の舞台であろう。主催国としては、完璧な防御体制が求められる。ミュンヘン五輪のような惨劇を防ぐのは、主催国として当たり前の責務である。




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