5月に河野談話の作成過程に関する検証チームの初会合が開かれたことが、政府関係者によって明かされた。政府は6月22日の国会会期末までに、検証結果を取りまとめることを目指しており、国会報告後に公表される見通しだが、検証チームのメンバーや検証作業の内容・状況は秘匿されている。これはおそらく、妨害行為を排除するための配慮だろう。
作成過程について、すでに明らかにされていることは、韓国政府が選抜したとされる16人の元慰安婦に、当時弁護士だった福島瑞穂社民党代表が同席し、監察するというお膳立てされた形で証言を聞き取る不自然な調査だったこと。それでいて、政府独自の裏付け調査は行われなかったこと。談話の原文作成に当たっては、韓国政府から強制性を認める表現を含めることを要請する不当介入があったことである。
このため、検証は強制性の事実確認や歴史解釈には踏み込まず、あくまで作成作業の再確認に焦点が当てられている。もしも元慰安婦の証言の裏付け調査もせず、談話内容が韓国政府の要請通りに作成されたことが確認されれば、日本政府からの謝罪と賠償を何度も要求したがる韓国政府の思惑に乗せられ、言うなりに利用されたことになる。
実際に韓国政府は、朴大統領がこの談話を有力な証拠として世界中で慰安婦問題を吹聴し、日本国のイメージを貶め、謝罪と賠償の請求を執拗に繰り返すことを正当化していることを考えれば、後顧の憂いも考えずに安易な作業で作成し、発表した河野談話の罪の大きさは尋常ではない。このため国会内には、当事者である河野元官房長官と、慰安婦のねつ造記事によって、慰安婦問題の発端をつくった朝日新聞社社長の証人喚問を求める動きもある。
安倍政権は、この検証を以て河野談話の見直しには着手しないことを宣言しているが、「ドイツに見習って日本は歴史に向き合え」と主張しつつ、談話の検証となると反意を示す韓国に、「誠実」や「正直」を期待できるのか。談話の作成手順の怪しさが確認されたなら、今後は政府としてではなく、学者チームによる史実と真実の確認作業に着手すべきだろう。そして、歪められた自虐史観が判明したならば正すと同時に、今後の日韓関係のあり方も考え直さなければならないのではないか。
|