OCTOBER.2012

財務省が今夏に発表した貿易統計速報によると、我が国の貿易収支は2カ月連続で赤字だったという。8月は7,541億円の赤字で、過去2番目であったとのこと。世界的な景気減速や円高によって、特にEUと中国向けの輸出が大幅に低下したことが主因と分析されている。

 敗戦の焦土から死に物狂いで貿易立国として復興していながら、貿易収支が連続赤字。その原因の一つとなっている円高対策について、我が国政府はほとんど無為無策のままに推移してきた。

 それでいて、内需拡大策などの景気対策も行わず、税収としての見返りが期待できない個人家計への補助政策で、赤字国債は前政権よりも増大。

 東北大震災からの復興も、全国的な指針となる国土計画がないため、復興支援は空回りし、予算は未消化。

 生産力向上のための公共投資は半減し、特に温暖化などの異常気象が懸念されていながら、ダム建設を強引に全廃した結果、首都圏では渇水と取水制限に陥った。

 脱原発を目指したものの、代替エネルギー開発の具体案はなく、高額の天然ガスをたかられるようにして買い取らされたままに断念。

 記録的な猛暑と残暑が長引く中、国民は節電、節水を強いられ、熱中症や脱水症状でダウン。

 デフレが進行中でありながら消費税は増税する一方で、年金などの国民の福利厚生財源は、旧社保庁による不正使用で破綻し、改革も修復もできないままだ。  このため、生活保護受給者は250万人で戦後最多を記録し、しかも不正受給件数も増加。反面、支給額が最低賃金を上回る逆転現象が各地で起きている。そして、年間3万人が首を吊る状況は、今なお改善されない。

 こうして国勢が弱体化し、与党からの離党者も続出した弱みにつけ込まれて、中韓ロからは国土侵略。中国の大規模な反日デモでは、尖閣諸島のみならず沖縄本土の返還要求の声も上がった。

 民主政権に交代しておよそ3年が経過したが、震災後の政府の政策運営について、台湾紙では「無能な政府によって、勤勉な国民が苦労させられている」などと、国外マスコミでも批評される始末である。「近いうちに解散」との三党合意だが、確かに政府与党はここらで一度、国民の審判を受けた方が良いのではないか。




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