November.2007

国外からの住宅投資が活発になったことから、国内でも住宅関連投資が活発になり、この数年は首都圏をはじめ地方でも住宅着工数が順調に伸び、不動産も流動化している。ところが、建築基準法の改正によって建築確認業務に時間がかかることから、住宅着工数の伸張率は、前年度よりも鈍化しているという。関係者によると、法改正もさることながら職員のリストラによって、人材の配置が追いつかないのが原因とのことで、リストラ一辺倒に傾きすぎた行政の弊害が、ここにきて裏目にでたといえそうだ。

住宅ブームは、元は住宅バブルだったアメリカ国内の余剰資金の導入がきっかけとなり、実需とは別に投資対象となったことから始まった。もちろん、単なる不動産転がしではなく、そこに購買力を持った団塊世代の需要がマッチしたため、比較的に受給バランスが取れた形となり、かつてのように実需なきバブルとは異なり、純然たる経済成長局面に入っているとみることができるだろう。

とりわけ住宅建築は、土木に比べて建材、資材、住設、電設さらには家具類など、多様なメーカーを総動員するため、その波及効果は一説には初期投資の8倍とも試算される。それだけに、有効需要創出の糸口としては理想的な産業であり、不況克服の上でも極めて有効な即効性を持つ。

ところが、昨年の姉歯事件の衝撃から、かつては米建築業界への市場開放を迫られて緩和されていた建築基準法が改正された結果、運用はかなり厳しいものとなった。ある設計士によると、手続きや審査のための書類だけでも、従来の2倍近くも要するという。しかも、構造計算は一部にミスがあった場合は、その箇所だけを修正すれば済むというものではなく、最初から全てをやり直さなければならないため、到底、素人の手に負えるものではない。そうした確認申請は、近年のブームを受けて膨大な件数であるにも関わらず、その手続きに当たる職員はリストラで不足しているという。その設計士によると、ある自治体に申請を出したものの半年近くも待たされたため、逆に審査体制について調べたところ、およそ14、15人体制となってはいるものの、現実に設計図面や構造計算についての専門知識を有している職員は、わずか4、5人しかいなかったという。「これでは到底こなしきれるはずがない」と、憤慨まじりに嘆息する。

地方では20年にも渡る異例の長期デフレ不況から、ようやく脱却の兆しが見え始めた矢先のことだけに、行政の人手不足が景気に水を注すのでは本末転倒というべきだろう。しかしながら、各自治体ともひたすら人減らしに専念した結果、真の技術知を持った職員はみな民間企業にスカウトされ、吸収されてしまっているというのである。“時代の行政ニーズに合わせた体制構築”は、どこの行政機関でも共通してアピールすることだが、経済動向を視野に入れないまま盲目的にリストラに専念した結果、地域経済ひいては国民経済の足枷となっているのが実情であり、早急に体制の見直しが求められるところだ。


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