April.2010


 鳩山内閣の支持率が続落の一途を辿り、ついに30%台に至った。各政策の先にあるものに、国家崩壊の不穏な将来しか見えないのであるから当然だろう。例えば選択的夫婦別姓は、アメリカでかつて導入されたが、女性の自立が進んだ反面、男性の家族への扶養意識が低下し、家族の絆が薄れて離婚と未婚の母が激増したという。それでも実現しようとするのは、既存の家族組織を解体し、社会を崩壊させたがる一部フェミニストの教条に洗脳されているのか。
 友愛の精神で命だいじにと、小学生の作文のようなスローガンを繰り返す一方で、年間自殺者は3万人以上に上る。介護や人間関係の問題もあろうが、原因の多くは経済活動の窮地で、求められるのは早急な景気対策だ。しかし政策は個人家庭へのばらまきのみで、高校授業料無償化対象に在日朝鮮学校を含めたり、子供手当支給に在日外国人も含めるなど、自国民が困窮しているときに国富の一部を国外に譲渡しようとしている。
 ハイチの大地震で20万人以上が死亡し、世界各国が慌ただしく援助に動き出した矢先に、今度はチリで大地震が発生し、津波という余波が日本に押し寄せた。今年は南米が地震の当たり年かと思えば、今度は我が国の福島県沖で震度4である。地球規模で自然災害に脅かされており、折しも今年は阪神淡路大震災から15周年で、国土の安全性向上が求められているときに「コンクリートから人へ」の主張である。
 シーシェパードなるテロリストによって、我が国の調査捕鯨が妨害を受けているが、さらにワシントン条約によるクロマグロの漁獲規制攻勢により、日本の食糧事情は窮地に立たされている。ただでさえ自給率が先進国中最下位の4割でしかないのに、生産性を高めるための土地改良事業予算は6割減という前代未聞の大幅カットである。これは食糧安保において諸外国への依存度を高め、自国の自立性を低める政策である。
 在日外国人の地方参政権などは、主権の危機として全国の地方自治体のみならず、与党民主党内にも反対派がいる。ところが一国の総理でありながら「国家がどういうものかはよく分からない」ので、とりあえず「日本は日本人だけのものではない」と主権放棄とも思われる発言。
 普天間基地問題は、県外移設を実現すれば米政府の不興を買うが、県内移設となれば県民の不興を買う。動勢を見れば、県内移設に反対する自治体での首長選挙結果を黙殺し、自国民に犠牲を強いる選択となりそうな雲行きだ。この国の総理は、一体誰のための総理なのか首を傾げざるを得ず、昨夏に支持した有権者が失望するのは当然だろう。
 六十路を過ぎてなお母から巨額の小遣いをもらいつつ、その管理も満足に出来ず、国家財政は自民政権以上に赤字国債を増やし、その使い道たるや景気浮揚と雇用につながる間接投資ではなく、諸外国民までも含めて個人にばらまく浪費。しかも、政策決定における優柔不断を指摘されれば、「ゆらぎは宇宙の真理」などと妄想じみた詭弁。
 個人財産を管理できない人物について、民法は特別に規定を設けている。仮に日本を侵略しようという邪心を持つ者がいたなら、これほど攻略しやすい国家はないだろう。最高権力者が、自国の弱体化・自滅政策を遂行してくれるのであるから手間が省ける話で、願ってもない好都合な状況である。野党自民党は国権を牛耳る二人を追放すべく政治とカネの問題を追及し、東京地検も威信をかけて捜査に当たったが、立件されることはなかった。視点を変えれば、邪心ある者にとっては、好都合な国家権力者が立件によって失脚し、不都合な人物に交代したのではやりにくくなって困るというものだろう。
 こうしたとき、対抗勢力となり得る自民党は再起に向けてのチャンスだが、党首の求心力の弱さもあって離党者が出るなど、不様なお家騒動が露呈。支持率の回復は見込める状況になく、有権者はまたも支持政党の選択肢がないという不幸な状況である。



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