March.2008

道路特定財源の国会論戦が白熱化し、次期衆院選の分岐点ともいえるほど有権者の問題意識も高まっている。重油が高騰してガソリン代と灯油代が上昇しているが、よりにもよって折りからの地球温暖化の影響により、全国的に低温化も進んでいるため、灯油への需要も上昇している。それだけに、人々は暫定税率の廃止によって、ガソリン代や灯油代の値下がりを切望する。

だが、道路特定財源が無くなれば、積雪寒冷地などは新規の道路整備どころか、すでに整備された路線の維持・除雪もおぼつかなくなるため、悩ましいジレンマを抱えている。すでに道路網が完成し、積雪によって都市機能が麻痺する心配のない地域は、暫定税率廃止による原油コスト引き下げを望むのは当然の心情だ。しかし、一年間の半分を雪害との苦闘に過ごす東北以北にとっては、冬期間の経済活動の休止を余儀なくされることになり、死活問題である。しかも、公共投資への依存率が高かった地域は、これ以上に公共投資が先細れば、経済難民の増加は確実で、人口の流出による過疎化と国土放棄が進むだろう。

そこで、唯一の頼みは民間投資だが、公共の利便性を重視する公共投資とは異なり、収益性がなく、高配当を望めない投資が行われるはずはなく、一方、投資に足るだけの魅力を持たない地域への誘導も望むべくもない。したがって、自治体首長がこれまでにどんな地域づくりをしてきたのか、その真価がここに至って問われる局面であるといえよう。投資家が魅力を感じるような地域づくりをしてきたのかどうか、地域経済を度外視した自己満足の街づくりをしてこなかったかどうか、投資家の採点を受ける局面である。

サブプライムローン問題で、行き先を失った欧米資本家の資金が、原油、穀物相場に流れたことが今日の原油高の背景にあり、FRBはさらに金融緩和を進めて資金の流動化を促そうとしているが、自主財源と自立経済の見込めなくなった地域は、そうした資金を誘致する智恵と努力が必要となるだろう。


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