JANUARY . 2016

路地裏問答 12月8日は、終戦記念日ではなく開戦記念日である。日清、日露、第一次大戦と、快進撃を続けてきた日本だが、第二次大戦で初めて敗北を喫して以来、干戈を交えることなく、平和理に70年を迎えた。その節目の年として、戦争の意味を考える意義も大きい。

 安倍首相は、戦後レジゥムの脱却を公約している。これが意味するものは、事後法で展開された不当な東京裁判と、これを論拠にGHQによって捏造された戦争責任への不要な負い目を、日本国民が払拭するとともに、敗戦国としての国際的差別待遇から脱却しようということである。

 半世紀以上も紛争に関わることなく、過剰な軍備増強もせず、平和国家であることを体現してきた実績を考えれば、東アジアの三カ国がプロパガンダで吹聴するような軍事侵略国などではなく、平和国家であると、胸を張って良いだろう。そして、国際社会もそれは認めるところである。

 安保法案では、とかく「日本が戦争に乗り出す」、「アメリカの戦争に巻き込まれる」、「我が子が戦争で死ぬ」などの情緒主義の極論が聞かれるが、GDPが三位の経済大国であり、技術先進国の日本が、いまさらどこを侵略して何を得られるのだろうか。アメリカの戦争は、背後にイギリス、イスラエルといった軍需を目当てに策動する様相が見られるが、日本の派兵は紛争解決という平和維持が目的であるから、人道的な国際貢献に他ならず、中国や欧米のような打算に基づく非人道的侵略行為ではない。

 12月13日には、中国の「南京大虐殺記念館」で、犠牲者の追悼式典が行われ、全人代の李建国・常務委員会副委員長は「いかなる人も国家も侵略戦争を美化することは許さない」と述べた。まさにその通りではあるが、ではなぜGDPの10%もの軍事費を、PM2.5や河川の強烈な汚染対策を放置して投入しているのか。そもそも虐殺事件の捏造は、かつて作家・森村誠一のルポルタージュでのデマが発覚し、文筆家としての信用を失って失脚した事例が示す通りである。

 東アジアの三国が、とかくGHQによって捏造され、マッカーサーもその過誤を認めたWGIP「War Guilt Imformation Program」を悪用したがるのは、日本国のように、世界市場に評価される独自製品を開発するだけの技術力や発想力が乏しいためである。今回もノーベル物理学賞で、二人の日本人が受賞したが、日本を敵視する三カ国が受賞した例しは、とんと聞いたことがない。

 このように国際社会は醜いエゴの衝突の場であり、日本国民のように、お互いに遠慮し合い、自己犠牲を払い合って平和を維持するような、お人好しの美徳社会ではない。今後の日本国が、一人前の独立国として建国されていくには、まず国民の意識が誤った価値観に洗脳されたままではならず、戦後レジゥムからの脱却は、WGIPに騙され、洗脳された意識と認識の是正から始めることが必要だ。




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