〈建設グラフ2001年6月号〉

特別企画 滝沢ダム

水資源開発公団

自然災害を土木技術でどこまで減らせるか

 埼玉県の山奥、秩父郡滝沢村に、滝沢ダムができる。荒川という首都圏を流れる、文字通りの荒ぶる川を治めるダム群の一つだ。これによって、大滝村の一部が水没し、約100世帯の住民の離村をともなったが、その犠牲によって救われる生命と財産は計り知れない。また、過疎化の進む地域にとっても、村の再生へ向けての起爆剤として、大きな期待がかけられている。滝沢ダムは、下流域だけでなく、建設地である上流域にも偉大な恩恵をもたらすものとして、その使命は重く、事業実施の意義は大きい。しかし、水資源開発公団と施工に当たる建設会社は、それでもわずか100世帯あまりの犠牲を、決して軽んじてはいない。地域の歴史を踏まえながら、現在建設中の滝沢ダムについて特集した。

平成11年8月14日・豪雨により大増水した荒川

潤いを未来に・荒ぶる川の恵みを求めて

自然の息づかいに耳を傾けながら施工

厳しい自然条件の中、工事進捗を図る滝沢ダム

  水資源開発公団滝沢ダム建設所長 大藪 勝美

荒川源流域の大滝村

  甲州、武州、信州の境界に位置する名峰・甲武信岳