建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年12月号〉

特集・港湾新時代〜世界の港湾立国へ〜

多核型の地域構造と膨大な機能集積で全国の港湾をリード

利便性の高い国際輸送サービスを提供し、アジアを中心とするグローバル経済の進展を図る

近畿の港湾整備事業 国土交通省 近畿地方整備局

▲神戸港ポートアイランド
▲大阪港夢洲コンテナターミナル
近畿圏は古代から日本の玄関口として栄え、その時代から今日に至るまでアジアとの交流を中心に日本の国際化をリードしてきた。京都、奈良、大阪、神戸など、強い個性を持った都市が近接し、2100万人を越える膨大な人口によって経済の集積が進んでいる。わが国においては首都圏に次いで日本経済を牽引し、世界の中でも一大文化圏として発展しつつある地域である。
阪神・淡路大震災からのリバイバル
1995年の阪神・淡路大震災は港湾に甚大な被害をもたらした。特に神戸港は岸壁の沈下、ヤードの陥没、倉庫の破壊、神戸大橋などの橋梁やハーバーハイウェイなどの湾岸道路など、港の機能が停止。
この影響は日本のみならずアジアの経済活動にまで波及し、復旧に多大な時間を要するかに思われたが、わずか2ヶ月後には摩耶埠頭でコンテナ荷役が再開。2年後には全面的な復旧を果たし、近畿の物流経済もようやく震災前のペースを取り戻した。
経済再生は「港の再生」から
近畿圏は日本経済の低迷を盛り上げるエネルギーとして「港の再生」を掲げ、活性化に向けての取り組みを進めている。
今年度は大阪市及び神戸市の臨海部において各々国際交易特区、国際みなと経済特区が指定されるなど、経済社会の構造改革の推進と地域活性化が進められている。
経済のグローバル化に対応し国際物流の拠点となるみなと
近年の東アジア諸国の発展に伴い、港湾間の競争は熾烈なものになっている。近畿圏においても、大型コンテナ船が発着するコンテナターミナルは貿易の拠点として今後ますます中心的な役割が求められる。
現在は神戸港のポートアイランド、六甲アイランドと大阪港の夢洲コンテナターミナルとを一体としたスーパー中枢港湾を目指した取り組みが進められている。
都市とみなとを結ぶ物流交通の整備
近畿の港湾では交易の中心である港と都市との間を有機的に結び、往来出来る手段として海底トンネルをはじめとした物流交通アクセスの整備が進められている。
主なものとしては神戸港で都心と人工島を結び、災害時にも影響を受けない第2のアクセスとして港島トンネルが整備されているほか、現在は大阪港全体の諸機能を結ぶ大動脈となる夢洲トンネル(仮称)、舞鶴港では大型埠頭へのアクセスを確保する臨港道路トンネルが建設中である。
▲ポートターミナル
▲ハーバーランド
「海辺の遊び場」としてのみなと
港は物流拠点であると同時に、地域の観光拠点としても機能している。大阪港此花臨海地区には2001年に「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」がオープン。世界を代表する超一流エンターテイメントとして絶大な人気を誇っている。
そのほか総合的アミューズメントエリアとして「天保山ハーバービレッジ」、「海遊館」、「夢洲スポーツアイランド」、神戸港には「ハーバーランド」などがあり、近畿圏の身近な遊び場として人々の暮らしに溶け込んでいる。
自然環境の保全
大阪湾では、かつて豊かな干潟が広がり、身近な憩いの場として、また小動物の生息する場として豊かな自然環境が形成されていた。 
しかし、現在は埋め立てなどの開発事業に伴って浅海域が失われ、水辺空間が本来持っていた生物の生息・生産の場としての機能が損なわれている。
そこで堺泉北港、大阪港では、かつての自然を再生する手段として、干潟の整備を推進。「生きている自然」をふたたび港によみがえらせ、豊かな生態系を育む海域づくりが進められている。
▲北港南地区干潟イメージ図 ▲神戸港ポートターミナル
  1. 舞鶴港湾事務所
  2. 大阪港湾・空港整備事務所
  3. 神戸港湾事務所
  4. 和歌山港湾事務所
  5. 社団法人日本埋立浚渫協会近畿支部

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