建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年12月号〉

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特集・港湾新時代〜世界の港湾立国へ〜

関西圏発展の一翼を担う和歌山下津港を整備

物流形態の変化に対応した機能などを確保

国土交通省 近畿地方整備局 和歌山港湾事務所

▲和歌山北港区
▲和歌山本港区
▲和歌浦海南港区
▲下津港区
▲有田港区
和歌山港湾事務所が管轄する特定重要港湾の和歌山下津港は、紀伊水道を隔てて四国、淡路島を望む大阪湾口に位置し、臨海部に立地する各種工業及び紀北地域における流通拠点として重要な役割を果たしている。平成7年には、釜山との外貿定期コンテナ航路が開設。今後は地域国際流通港湾としての役割が増大することが期待される。
同港の背後圏は、近畿自動車道などの開通、関西国際空港の開港に加え、京奈和自動車道などの高速交通体系が拡充され、京阪神地域との結びつきが強化されることから、関西圏発展の一翼を担う拠点を担うことが期待される。
このため、和歌山下津港では、背後地域の発展に伴う物流需要の増大や、コンテナ化の進展など物流形態の変化に対応した機能の確保、輸送の効率化などにより、地域産業の高度化・活性化を目指している。
また、近年の港湾を取り巻く状況の変化に伴い、関西地域における電力需要の増大に対応した火力発電所の整備や、市民が海に親しむための、賑わいと潤いのある空間の形成なども求められていることから、これらに対応した新たな港湾整備を目指している。
なお和歌山下津港は、和歌山北港区、和歌山本港区、和歌浦海南港区、下津港区、有田港区の5港区があり、各港区の概要は次の通りである。
和歌山北港区
和歌山北港区は、紀の川河口の右岸に位置し、製鉄、製鉄関連企業が立地する鉄鋼港湾であり、石炭、鉄鉱石、鉄鋼製品などを取り扱う。
また、西防波堤沖埋立地では、LNG火力発電所の建設が計画されており、これに関わるlng船舶の専用係留施設や、多目的公共埠頭となる水深10m岸壁のための防波堤(南)の整備が進められている。
和歌山本港区
和歌山本港区は、和歌山市街を背後地に古くから木材港として発展してきた。主な取扱貨物は原木、鉄鋼・その他機械、木材・化学工業品、砂利・セメント・化学製品などである。
当港区では、木材輸入船をはじめとする船舶の大型化と、水面貯木から陸上貯木への転換など、荷役形態の変化に伴って、大型岸壁及び埠頭用地などの整備が求められている。
そこで、船舶大型化への対応のため、平成6年度に3万トン級の外貿埠頭と、平成11年度にコンテナ貨物などに対応した4万トン級の外貿埠頭が完成した。今後は、5万トン級の外貿埠頭を整備する計画である。
和歌浦海南港区
和歌浦海南港区の和歌浦湾は、大宮人が万葉の歌に詠んだ面影を今も残している。一方海南地区は、黒江湾一帯を指し、古くは、黒江港・冷水港が中心であったが、遠浅を利用した埋立計画が立案され、昭和36年に着手。5年の歳月をかけて、160haの用地を造成。現在は、石油・電力・金属などの重工業が立地している。主な取扱貨物は、原油、石油、金属製品だ。
昭和52年には、和歌浦湾一帯を一大レクレーション基地化する和歌浦港湾整備計画が立案され、昭和55年に片男波海水浴場がオープン。平成6年には、毛見地区の和歌山マリーナシティが完成し、世界リゾート博覧会が開催され、県内外の注目を集めた。
また、これにあわせて直轄事業により整備した日本初の親水性防波堤は、現在も観光客や近隣市民の憩いの場となっている。
下津港区
下津港区は、古くは元禄年間の紀伊国屋文左衛門にまでさかのぼる歴史ある港であり、木材及びみかん類の集散地として栄えた。昭和になって石油精製企業が進出し、現在に至る。取扱貨物は、原油、石油製品がほとんどである。
有田港区
有田港は、和歌山下津港区の南端に位置し、旧有田港が有田川筋の柑橘・除虫菊・木材を主とした集散地であったが、貨物が陸送に転移したことから、臨海部は昭和36年から5ヵ年の歳月を費やし、100haの用地を造成。さらに昭和41年から45年までに256haを埋立て整備し、現在は主として、石油関連企業が立地する石油港湾として機能している。主な取扱貨物は原油・石油製品である。


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