建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年12月号〉

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特集・港湾新時代〜世界の港湾立国へ〜

環日本海地域発展の一翼を担う

5万トン級の大型コンテナ船が接岸可能な多目的国際ターミナルの建設が進む

国土交通省近畿地方整備局 舞鶴港湾事務所

舞鶴港位置図
舞鶴港の沿革
四方を400m級の山々に囲まれた舞鶴湾は、平均水深20m、出入り口が約700mで、湾内の干満差が極めて小さいほか、強風・荒天を避けることができる静穏な海域である。このことから舞鶴港は古くから天然の良港として知られ、明治時代には軍港として、また木材輸入の対外貿易を中心とした日本海側の重要な商港としてその役割を果たしてきた。
第二次大戦後は昭和20年から13年にわたって大陸からの引揚者約66万人を迎え入れたほか、23年には貿易港として再出発。26年には国の重要港湾に指定された。
現在は西港を外国貿易港、東港を国内貿易港として港湾整備が進められている。
世界に開かれた国際貿易港「舞鶴」
アジア全体の発展に伴って、環日本海時代を迎えている昨今、舞鶴港は「日本のゲートウェイ」としての役割が期待される。
舞鶴市は昭和36年に日本と旧ソ連邦間で初めてナホトカ市と姉妹都市の提携を行ったほか、57年には中国・大連市と友好都市の提携。訪問団の相互派遣など多様な交流を展開している。また、こうした親善交流とともに定期航路などを通じて貿易・港湾関係者による経済交流も盛んになってきている。
この環日本海諸国との経済交流の拡充に伴う物流の増大に対応するため、平成元年にはコンテナも取り扱える多目的クレーンを新たに設置。同時にロシア及び欧州・中近東を結ぶコンテナ定期路線であるtscs(トランス・シベリア・コンテナサービス)航路が初めて開設された。
その後も韓国航路(釜山港トランシップによる東南アジア、中国、北米、欧州サービス)や中国航路(大連・青島・丹東に寄港するサービス)などのコンテナ定期航路が順次開設され、舞鶴港は木材輸入港からコンテナ貨物輸送の拠点港として姿を変えつつある。
平成7年には日本海側では初めてfaz(輸入促進地域)の指定を受け、9年には貿易関連事業者用オフィスや展示場、物流施設など貿易関連機能を集約させたfazの中核施設が完成。物流機能の向上のほか、輸出入ビジネスの支援体制が一層強化された。
国内物流拠点として広域交通ネットワークと接続
舞鶴港は京阪神経済圏を背後とした日本海側の物流拠点として地理的な優位性を持っている。京阪神地域と舞鶴港を直結する舞鶴若狭自動車道、京都縦貫自動車道などの全面開通に向けて整備が進められており、舞鶴港利便性の一層の高まりが期待されている。
現在整備中の主な事業
現在は西港和田地区(仮称)に5万トン級の大型コンテナ船が接岸可能な多目的国際ターミナルを建設中であり、今年度は−14m岸壁にアクセスするための臨港道路のトンネル本体工事に着手。このトンネル掘削により発生する土砂は岸壁背後の裏埋材に活用し、コスト面、環境面に配慮している。
舞鶴港は日本海側の拠点港として、また、多様化するニーズに応える港として一層の発展が期待される。

▲和田地区(仮称)ふ頭完成イメージ
▲和田地区(仮称)ふ頭整備中 ▲前島地区フェリーふ頭

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