建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年8月号〉

特集・福岡県土木部


新しい時代をひらく ふくおかの道づくり


▲土木事務所管内図

 福岡県は、九州の北端に位置し、東は周防灘、北は玄海灘と響灘、西は有明海の三方を海で囲まれ、釈迦ヶ岳、英彦山、福智山、背振山などの山地や、筑後川、矢部川、遠賀川、山国川など、その他河川地域の肥沃な平野を代表とした自然に恵まれている。
 また、九州と本州をつなぐ要衝であるばかりでなく、朝鮮半島や中国大陸に近いため、古くからアジア大陸交流の玄関口として発達してきた地域である。

道路の構成

 福岡県の道路は、九州縦貫自動車道をはじめとする高速国道3路線と一般国道26路線、県道446路線及び市町村道118,249路線で構成されており、これらの道路網は県内各地域を有機的に連絡させるとともに、全国道路網の一環として地域産業の活性化や日常生活の基盤となるなど、多様な機能を担っている。

道路の整備計画

(1)新道路整備五箇年計画

 「道路整備五箇年計画」は、“道路整備緊急措置法”に基づき、5年間に行うべき道路整備の目標及び事業量を示した計画で、道路整備に関する全ての事業を包括するもの。昭和29年度の第1次計画以来、すでに第11次(平成5年度〜平成9年度)までが完了しており、本年度が「新道路五箇年計画」(平成10年度〜平成14年度)の最終年度である。
 21世紀を迎え、人中心の安全で活力に満ちた社会・経済・生活を実現するため、日常生活の基盤となる市町村道から国土構造の骨格を形成する高規格幹線道路に至る道路網を、計画的に整備するとともに、適正な道路空間の確保を図るものである。
 また、計画の実施にあたっては、道路政策をより効果的・効率的に執行するため、道路政策の進め方の改革を図っていく。

(2)福岡県道路整備将来ビジョン

 交通ネットワークや情報通信網の整備により、産業・経済活動をはじめ、日常生活においても様々な地域との結びつきが強まる一方で、中国、韓国をはじめとする東アジア地域は着実に経済力を高め、飛躍的な発展が見込まれている。
 この状況の中で福岡県としては、「個性」と「創造性」を土台とし、「交流」と「連携」を柱とする新たな時代を展望した県土の望ましい将来像を描き、“アジア”を視野に入れた県土構造の再構築を進めているところである。

(3)時間交通圏構想

 福岡県においては、福岡市または北九州市まで1時間、日常生活の中心都市まで30分でいける「時間交通圏構想」を掲げ、交通体系整備の目安として、県内各市町村を起点とする「時間交通圏目標」を設定している。

(4)広域道路整備基本計画

 広域道路基本計画は、概ね20〜30年後を見通した長期的道路網の基本的な在り方を定めたもので、今後さらに詳細な道路計画を策定する際のベースになっている。
広域道路は、広域的な社会交流を支え、地域の連携を促す道路のもと、高規格道路と一体的に機能する一般国道および主要な県道など、福岡県内で約2,200kmを想定している。

▲広域道路(交流促進型)のイメージ

高規格幹線道路

(1)東九州自動車道

 東九州自動車道は、九州の東側において北九州市を起点とし、福岡、大分、宮崎、鹿児島の各県を結び、鹿児島市に至る全長約436kmの高速自動車国道。九州縦貫自動車道ならびに九州横断自動車道とともに、高速自動車国道のネットワークを形成し、東九州地域はもとより、九州全体の産業・経済・文化の活性化に重要な役割を果たす。本県区間においては北九州市〜苅田町間がすでに工事着手しており、苅田町以南についても日本道路公団や関係市町村と共に早期整備にむけ取り組んでいる。

(2)西九州自動車道

 西九州自動車道は、福岡市を起点として唐津市、伊万里市、松浦市、佐世保市を経由し、武雄市に至る延長約150kmの高規格幹線道路(自動車専用道路)で、九州北西部地域の地域経済の活性化、高速定時性の確保に大きく寄与する。
 西九州自動車道の一部区間を形成する福岡前原道路は、平成5年3月、福岡市西区大字周船寺から前原市大字東の間(延長8km)を暫定2車線化で開通。その後、福岡市西区拾六町から福岡市西区大字飯氏の間(延長6.5km)を国土交通省と福岡県道路公社が一体となって整備を進め、平成13年10月に福岡高速1号線と連結した。また、平成11年度からは福岡市西区大字周船寺から前原市大字東の間の4車線化の拡幅工事を進めるなど、高速交通サービスの充実を図り、福岡都市圏と九州北西部の連携を強化している。

▲西九州自動車道 福岡西料金所

地域高規格道路

 一般国道、主要地方道の中で高規格幹線道路を補完し、地域の自立的発展や地域間の連携を支える規格の高い道路として整備することが望ましい路線を「地域高規格道路」として指定し、整備を進めている。「広域道路整備基本計画」の中から、事業の重要性や地域に与える効果などを考慮して、平成6年12月および平成10年6月に地域高規格道路の「候補道路」と「計画路線」の指定が行われた。

(1)福岡北九州高速道路

 昭和46年に福岡県、福岡市及び北九州市が設立した福岡北九州高速道路公社によって、福岡高速道路ならびに北九州高速道路の整備が進められている。
 両高速道路ともに九州縦貫自動車道などと連携し、都市圏において広域交通を支える放射環状型の自動車専用道路ネットワークの形成を図る。

(2)有明海沿岸道路

 有明海沿岸道路は、県南地域の交通渋滞を緩和するとともに、有明海沿岸の地域振興プロジェクトを支援し、広域的な交流の促進・地域の活性化に大きく寄与する地域高規格道路。熊本市から鹿児島市に至る区間のうち、福岡県内の約28kmについては「整備区間」として国土交通省にて事業化されている。今後とも、国土交通省に対して早期完成を要望していくとともに、周辺道路網の整備を進めている。

(3)新北九州空港道路

 新北九州空港は、北九州・京築圏域200万人の航空利便性の確保と北九州地域活性化のため、第6次空港整備五箇年計画(H3〜H7)に新規事業として位置付けられ、運輸省第四港湾建設局が平成6年に工事着手し、平成17年10月の開港を目指して工事が進められている。地域高規格道路「新北九州空港道路」は、現在整備が進められている東九州自動車道の苅田IC(仮称)と新北九州空港を結ぶ延長8km、4車線の幹線道路である。


 【2002年8月号掲載】

◆空・海・陸を高速で結ぶ“夢の架け橋”「新北九州空港連絡道路」が進捗中

  福岡県 新北九州空港連絡道路建設事務所長 河野 正博

◆21世紀の都市圏の社会基盤整備に向けて

  福岡県 北九州土木事務所長 新免 直樹

◆福岡県北部における県民の安全と、住みよい地域づくりを目指して

  福岡県 宗像土木事務所長 齊藤 和之