建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年8月号〉

寄稿

空・海・陸を高速で結ぶ“夢の架け橋”「新北九州空港連絡道路」が進捗中

福岡県 新北九州空港連絡道路建設事務所長 河野 正博

河野 正博 かわの・まさひろ
昭和25年1月生まれ
昭和48年福岡県入庁
道路建設課橋梁係長
県道路公社 建設課長
道路建設課課長技術補佐
平成14年4月現職
▲新北九州空港連絡橋(完成予想パース図)

当事務所は、福岡県西部の周防灘に面した位置にあり、現在建設中の新北九州空港と東九州自動車道苅田ic(仮称)を結ぶ連絡道路の建設事業を施行するために設置された事務所である。
新北九州空港は、平成17年度の開港を目指して建設が進められている。この空港は、現在の北九州空港の代替えとして、北九州・京築圏域200万人の航空利便性の確保と北九州地域の活性化を図るため、周防灘沖約2qの海上に約370haの埋立てによって建設される海上空港である。
新北九州空港連絡道路は、この空港と一般国道10号及び東九州自動車道苅田ic(仮称)に接続する全長約8qを県道新北九州空港線として整備する計画である。
この連絡道路は空港・港湾・陸上交通を連結し、北部九州の産業発信基地の根幹をなすものであり、福岡県の重要プロジェクトに位置付けられ、地域活性化へ寄与するものと注目されている。
計画では、第一期施工と第二期施工に分かれており、第一期施工は、海上部約3q(海上橋2.1q、空港島アプローチ部0.9q)、平面道路部約4.5q、及び東九州自動車道苅田ic(仮称)接続部約0.5qの4車線の道路を整備する。第二期施工は、平面道路部の約4.5qを将来高架構造で結ぶ計画である。
この連絡道路の海上橋は、中央部に位置する鋼モノコード式バランスドアーチ橋(中央スパン210m)を中心に、10径間及び11径間連続鋼床版箱桁橋により構成し、下部工はコンクリート橋脚及び橋台25基からなり、そのうち22基が海中基礎である。
当該橋梁の中央部は、側径間の橋梁との連続性、橋梁の象徴性、空港へのゲート性、橋梁空間のアメニティ性を評価し、新空港と大地が互いに支え合っているイメージでデザインされている。また、空港に近接することから上方に空域制限(tp+51.1m)があり、下方に航行船舶の安全を確保するための航路(高さ24m、幅130m)を設けている。
海上橋の施工状況は、平成9年3月現地着手して以来順調に進捗し、5月末時点で下部工25基中18基が完成し、4基が施工中である。残り3基は6月に現地着手した。また、上部工は、中央部のアーチ橋は、平成11年10月に大型起重機船(フローティングクレーン船)による大ブロック架設を3回に分けて施工した。
中央部より陸地側の側径間部(10径間のうち9径間)は、5月下旬から6月中旬にかけて、中央部と同様に大型起重機船による大ブロック架設を5回に分けて施工した。これにより、海上橋約2.1qのうち、約1.1qの架設が完了した。その他の上部工は、工場製作中であり、架設は平成15年度に施工する予定である。
平面道路部は、用地取得もほぼ完了し鋭意工事が進んでおり、苅田ic(仮称)接続部では、一般国道10号及びJR日豊本線を跨ぐ橋梁下部工を施工中である。
今後、現在施工中の工事を完成させ、舗装・管理設備等の工事を施工し、平成17年度に完成する予定である。

▲平成17年度に開港予定の新北九州空港
(完成予想パース図)
▲大ブロック仮設状況
(平成14年6月撮影)

[下部工一般図]
正面図
[幅員構成]

注)*:中央部は3600に拡幅
[上部工(中央部)一般図]

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