建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年11月号〉

特集・港湾新時代〜世界の港湾立国へ〜

日本の中心にあって経済活性化を先導する

中部の港湾整備事業

スーパー中枢港湾の実現をめざす

▲名古屋港 金城ふ頭 ▲名古屋港 鍋田ふ頭
港湾整備の基本方針
中部は、工業集積地帯であることから、名古屋港の1980年から2002年までの取扱貨物量の増加率は、全国の中でも最も高く、世界レベルでは45位だったのが、2002年には29位へと飛躍的に地位が上昇した。中部地方整備局港湾空港部は、そうした地域の発展力を背景に、管内の社会資本整備重点計画の達成に向けて、効果的で効率的な事業執行を推進しつつ、経済活性化、民需・雇用の創出、安全・安心な国土づくり、循環型社会の構築など、我が国にとっての緊急課題に適切に対応すべく、『「早く」「安く」「安全で」力のみなぎるみなと』を、次世代へ継承する考えで整備を進めている。
社会資本整備重点計画の政策テーマは、「活力」「環境」「安全」「暮らし」の4つで、国土の中心部に位置している地域性を意識した「まんなかビジョン」を実現するために、重点的な投資を行い、国民のニーズに即した港湾施策の展開を目指している。
活 力〜国際競争力の強化、都市再生、地域連携や観光振興等を通じた魅力と活力にあふれる経済社会の形成〜
我が国の国際競争力強化を図るため、スーパー中枢港湾の育成、国際海上コンテナターミナルプロジェクトなどのハード・ソフトが一体となった取組みにより、海上ハイウェイネットワークの形成を着実に推進する。また改正solas条約に対応し、港湾の保安レベルを国際的な水準にまで高め、国際物流ネットワークの信頼性確保を図る。
我が国経済の活性化を図り、民需・雇用の創出に資するため、産業を物流面から支える国際・国内物流拠点の充実・強化を図る。そのため、世界の先進港湾を凌ぐサービス水準の実現を目指し、itを活用して港湾関連諸手続きの利便性の向上を図る。また、民間需要の持続的創出を図るため、臨海部における都市再生を推進する。
▲四日市港 霞ヶ浦地区(北埠頭)構想図
▲三河港 神野ふ頭8号岸壁
▲衣浦港 中央ふ頭地区
環 境〜地球環境から身近な生活環境までの保全・創造〜
循環型社会の形成を促進するため、港湾を活用した全国及び国際規模の効率的な静脈物流ネットワークの形成を推進すると同時に、ひっ迫する廃棄物処理問題などに対応するため、廃棄物海面処分場の整備を推進する。
また、豊かな生態系を育む自然環境の形成を図るため、npoや地域住民などの多様な事業主体と連携しつつ、港湾における自然再生を推進する。特に、閉鎖性海域などにおける良好な水環境への改善を図るため、汚泥の浚渫・覆砂・ダイオキシン類対策を行うとともに、沈廃船対策の推進に向けて、総合的な取組みを実施する。
安 全〜防災の高度化の推進と交通安全対策・危機管理の強化〜
東南海・南海、東海地震など、予測される大規模地震などの災害から地域の生命・財産を護るため、防災機能の強化、防災拠点機能の提供を図る。
暮らし〜生活空間の充実等を通じた豊かな生活の実現〜
個性を活かした地域の発展を着実に進めるため、住民や行政などの多様な事業主体の参加と連携のもとに、海に聞かれた「みなと」の資産を活用した「みなとまちづくり」を推進する。
特に、人々の移動や生活物資・地場産品の輸送などにより、地域の活力を支える海上交通に必要なターミナル機能の確保を、ユニバーサルデザイン化を図りつつ着実に推進する。
スーパー中枢港湾の育成に向けて
平成14年12月には、スーパー中枢港湾選定委員会において「スーパー中枢港湾育成のあり方」及び「スーパー中枢港湾指定のための基準」が提示され、その指定を目指す港湾を募集。
その結果、平成15年3月に、名古屋港が「地域の枢要なブロックである伊勢湾に位置すると言う地理的ポテンシャルを有し、一体的なターミナルオペレーションの実現性が高いことから、チャレンジャー型のスーパー中枢港湾育成が実現する可能性を有する」との評価を受け、候補港として残った。
現在、名古屋港においては、育成プログラムの作成にあたり、国際競争力の強化に向けた取り組みを検討している。
そのスーパー中枢港湾として、次世代高規格コンテナターミナルで実施していく主な施策は、自動化荷役システムの導入、上物整備の一部民間施工による経営観点の導入、共同オペレーターによる複数バースの一元管理・運営を検討している。
そのため、飛島ふ頭・鍋田ふ頭の2大拠点化、飛島ふ頭南コンテナターミナルにおける長期リース制度の導入、ロジスティクスハブの形成が、今後の課題となる。
  1. 名古屋港湾・空港整備事務所
  2. 三河港湾事務所
  3. 四日市港湾事務所

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