建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年11月号〉

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特集・港湾新時代〜世界の港湾立国へ〜

コンテナ船の大型化に対応した高規格コンテナターミナル整備が急務

平成17年度供用開始を目標に、水深14mのコンテナターミナルを整備

国土交通省中部地方整備局 四日市港湾事務所

主要施設位置図
標準断面案内図 四日市地区拡大図
四日市港の概要
四日市港は、三重県を中心に、滋賀県東部地域、岐阜県及び愛知県西部地域を主な背後圏として、これら地域における生産活動及び生活・消費活動の供給港として、また、第二次大戦後には、いち早く肥料・カーバイト・ビニール工場が進出し、続いて石油精製を基盤とした石油化学工場が進出するなど、日本の代表的な石油化学工業地帯を形成し、工業港として急激な発展を遂げてきた。
四日市港湾事務所は、これに伴って増加する貨物に対応するため、直轄港湾改修事業として、四日市港における岸壁、防波堤及び航路泊地などの整備、直轄海岸保全施設整備事業として、津松阪港の老朽化した海岸護岸の改良整備、を実施している。
四日市港の歴史
明治32年に開港した四日市港は、主に羊毛、綿花の輸入港として栄え、昭和27年には、特定重要港湾に指定された。
昭和30年代には、石油化学コンビナートを形成、着々と規模を拡大し、今日では国内屈指のエネルギー供給基地となっている。
昭和44年には、コンテナ貨物の取扱を開始。東南アジアや中国航路をはじめとするコンテナ定期航路網も年々拡充してきた。
平成11年には100周年を迎え、中部圏を代表する貿易港として国際経済や地域産業に貢献すると同時に、平成10年には、シドニー港との姉妹港提携30周年を迎えるなど、文化交流の歴史も綴ってきている。
▲姉妹港/シドニー港
四日市港における海上出入貨物量は、ここ数年約6,000万トン程度を維持しており、厳しい経済社会情勢のなか堅調に推移している。平成14年の海上出入貨物量は約5,929万トンであり、その内訳は内貿貨物が約35%、外貿貨物が約65%である。一方、コンテナ貨物は平成14年に過去最高の215万トンに達し、5年前の平成9年に比べ約1.7倍に急増し、既存のコンテナ取扱施設の能力の限界に近づいている。このため、コンテナ船の大型化にも対応した高規格コンテナターミナルの整備が急務となっている。
また、輸出貨物の約5割を占めるのが自動車で、港内には広大な自動車輸出基地があり、自動車専用船によって、主に北アメリカやヨーロッパへと輸出している。
スムーズな荷さばきや貨物の保管のための国際物流センターも設置されており、これらの作業の安全性を確保するため、四日市港では最新カメラによる港湾監視システムを導入し、セキュリティにも力を注いでいる。
▲潮吹き防波堤(重要文化財指定)
▲ポートビル(霞ヶ浦地区) ▲防潮壁画(遊覧船「いなば2」船着場前) ▲霞ヶ浦南埠頭
四日市港の整備方針
四日市港開港以来、貿易の隆盛が港を拡大させ、港の発展が背後地の産業を育ててきた。今後は、さらに多様化する物流需要や物流合理化の発展に対応するとともに、社会環境との調和、地域開発の担い手として、愛され親しまれる「21世紀への港湾」づくりを目指して、施設・機能の近代化を進めている。
中部圏は、技術産業が盛んな地域であり、四日市港は、資材の輸入や製品の輸出の重要な拠点となっているが、今後は、国際経済競争力強化への戦略として、物流施設の整備や物流コストの低減が課題となっている。
そこで、港を計画的に開発・運営していくため、社会経済・経済情勢を反映しながら、平成20年代前半を目標とした長期的な「港湾計画」を策定している。
現在の四日市港において、コンテナ貨物を扱っているターミナルは、水深12mの岸壁2バース体制となっているが、背後ヤードが不足し、隣接地にコンテナヤードを拡張するなど、既に手狭になっていること、また水深が浅く基幹航路の大型船への対応が困難な状況となっている。
そこで、国際港湾としてコンテナ船の大型化に対応した高規模な国際海上コンテナターミナルの早期整備に向けて、平成13年度から、北ふ頭にて、水深14mのコンテナターミナルの整備に着工しており、平成17年度の供用開始を目指して、鋭意工事を進めている。
また、今後は、国際化、高度情報化に対応する国際交流施設や水と親しむための文化・レクリエーション施設も計画されており、よりよい港づくりが進められる。
▲四日市地区 ▲霞ヶ浦地区 ▲川越地区
▲石原地区・塩浜地区 ▲シーバース(専用

霞ヶ浦地区(北埠頭)構想図
高度な物流空間の形成
 ■増大するコンテナ輸送、船舶の大型化に対応する国際海上コンテナターミナル
 ■モーダルシフトに対応する内貿ユニットロードターミナル
 ■快適で潤いのある港湾環境を創造する緑地
 ■大規模地震災害時における経済活動を支える耐震強化岸壁
 ■高速道路に連結する臨港道路
 四日市地区(2号地)構想図
親水性の高い交流空間の形成
 ■国際化、高度情報化に対応する国際交流施設
 ■親しめる港づくりを目指した文化・レクリエーション施設
 富双緑地構想図
解放された水際空間の形成
 ■水際線を解放したボードウォーク
 ■緑とふれあい、憩える芝生広場
四日市港湾(直轄・補助)工事安全連絡協議会
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