建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年10月号〉

特集・阪神高速道路公団

関西都市圏をつなぐ高速道路ネットワーク

関西と共に歩んだ40年

阪神高速道路公団は今年5月、創立40周年を迎えた。公団発足当時の日本は、高度経済成長の真っ只中。都市の過密化が進行し、特に自動車の激増による影響は想像以上に大きく、阪神地域においても例外ではなかった。こうした中、同公団は、交通事情の改善を求める地元の要望を背景に、昭和37年、国と地元自治体の出資により設立。以来、大阪、神戸、京都の各都市を中心とした関西都市圏の高速道路網の整備を推進してきた。また、平成7年の阪神・淡路大震災時には、阪神高速3号神戸線の一部が倒壊するなど、大きな被害を受けたが、24時間体制での必死の復旧作業により1年半で全線復旧。被災地復興のシンボルともなったことは、記憶にも新しい。
本号では、今年度の主要事業である北神戸線、神戸山手線の整備事業を中心に、同公団について特集した。

待望の北神戸線は14年度末に全線完成へ

神戸山手線も年度内の一部区間完成を目指す

市民生活を支える関西圏交通の大動脈


▲有馬口出入路上空より北神戸線建設現場を望む ▲妙法寺付近から7号北神戸線を望む
▲妙法寺第二トンネル
阪神高速道路公団は、総延長279.7kmの高速道路を建設・管理しており、このうち、現在の営業キロ数は221.2km。1日の利用台数は91万台にも及び、関西都市圏にとって欠かせない交通の大動脈として、市民生活を支えている。
公団の道路建設事業は都市再開発計画と一体化した市街地改造事業として進められる。これまでも、日本万国博や関西空港など、国家的プロジェクトの関連事業として道路整備を推進、着実に営業路線を伸ばしてきた。
現在は、国の道路整備五箇年計画(平成10年度〜14年度、総額78兆円)に沿った高速道路ネットワークの整備を、事業費・1兆3,700億円により進めている。渋滞対策、震災・環境対策などの事業についても効率的な執行を図るため、中期的な業務計画を策定し、計画的に事業を遂行している。

整備方針
平成14年度は、「大阪地区における新たな環状道路の整備」「阪神間ラダーネットワーク(格子状道路網)の早期整備」「湾岸線全線の早期完成」「京都地区における路線の整備」を基本方針として、事業を推進していく。
また、ETC(ノンストップ自動料金支払システム)利用料金所の大幅な拡大、料金格差を設けることで車を別線に誘導する「環境ロードプライシング」の試行運用も、前年度に引き続き実施していく予定だ。
平成14年度主要事業
兵庫県道高速北神戸線(東伸部)
本線は、第二神明道路・伊川谷JCT〜中国自動車道・西宮山口JCT(仮称)間、32.3kmを結ぶ路線。現在、伊川谷JCT〜有馬口出入路間、27.0kmが営業中である。
神戸市東北部から西宮北部地区は、住宅団地の開発や工業団地の整備等により著しく変貌を遂げつつある。こうした変化は交通量にも影響を与え、周辺道路は朝夕の慢性的な交通渋滞に悩まされている。
このエリアの幹線道路は、南北方向に中国自動車道・六甲北有料道路があるが、東西方向にはなく、機能的な幹線道路が望まれている。また、神戸市南西部では神戸淡路鳴門自動車道が供用しており、これらの広域的な幹線道路を有機的に結び、周辺道路の混雑を緩和、円滑に交通を処理する路線として、本線が計画された。
14年度は、東伸部の有馬口出入路〜中国自動車道・西宮山口JCT(仮称)間、5.3kmの建設を進めており、年度内の完成を目指している。

神戸市道高速道路2号線(神戸山手線)
本線は、神戸市長田区南駒栄町〜湊川JCT(仮称)〜須磨区白川間、9.5kmを結ぶ路線。
神戸市西部地区では、大規模住宅団地の開発、産業団地の整備等が進められているが、地区内では南北に伸びる幹線道路の整備が立ち遅れ、周辺地域の生活道路は、慢性的な渋滞に悩まされている。
そこで、神戸市街地との連絡を円滑にして地域社会の利便性を図り、主要道路とのネットワークを結び、渋滞緩和など将来の交通需要に対応する路線として本線が計画された。
本線が完成すると、阪神高速7号北神戸線、3号神戸線と結ばれ、神戸都心へのアクセスがスムーズになるとともに、周辺地域の生活道路の渋滞緩和にも大きな役割を果たす。
昭和59年の妙法寺地区北部のトンネル工事着工を皮切りに着々と工事が進められており、14年度末には、長田出入口(仮称)〜白川JCT(仮称)間、7.3kmが完成する予定だ。



【阪神高速道路北神戸線(東伸部)・神戸山手線の工事概要】

◆有野工事事務所管内の工事概要
  阪神高速道路公団神戸建設局 有野工事事務所長 榎元清治氏
◆山手工事事務所管内の工事概要
  阪神高速道路公団神戸建設局 山手工事事務所長 瀬戸口嘉明氏
◆須磨工事事務所管内の工事概要
  阪神高速道路公団神戸建設局 須磨工事事務所長 浜本博志氏
◆神戸山手線のトンネル換気工事 
  阪神高速道路公団神戸建設局 工事部施設課長 野村正則氏


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