建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年3月号〉


北海道新幹線特集

実現するか、北への夢

道民悲願の北海道新幹線、鉄建公団の工事実施計画認可申請により大きく前進

 去る1月8日(火)、日本鉄道建設公団は、国土交通省に北海道新幹線の工事実施計画の認可申請を行った。これにより計画段階の事務作業は完了し、北海道新幹線は実現に向けて大きく前進した。しかし、その一方で、1兆5,000億円にも上る建設費や、並行在来線の運営問題など、課題は山積している。果たして、道民悲願の北海道新幹線は実現するのか。新幹線に対する期待、道や沿線自治体の取り組みについて特集した。

北海道新幹線の必要性

 北海道新幹線は、青森市の新青森から青函トンネルを通り新函館(大野町)、長万部、倶知安等を経由して札幌に至る、総延長360qの路線。東北新幹線など他の新路線と結んで日本の国土軸を形成し、国土の均衡ある発展を進めるとともに、食糧の供給基地としての役割を北海道が果たす上で、北海道新幹線は日本が今後整備していかなければならない重要な高速交通機関の一つであると言える。
 一方、本州との往来に、事実上、航空機という選択肢しか与えられていない北海道民にとっても、高速・大量輸送に優れた新幹線は、冬期間や悪天候時の交通輸送の安定・安全確保を図るため、長年の悲願となっている。

新幹線が開業すると…

 北海道新幹線の経済波及効果は大きい。東京―札幌間を東北新幹線等と同じフル規格で整備し、最高速度を350q/hで計算した場合、同区間は3時間57分で結ばれ、北海道―本州の鉄道利用客は現在の4倍に増加。新幹線利用客の消費支出のみならず、その波及効果は、サービス業や農林漁業、卸・小売業、また建設に伴う効果を含め広範囲に及ぼされる。それゆえ、新幹線は低迷する北海道経済に活力を与える起爆剤としての期待が高まる。
 また、新幹線は、車や航空機に比べてCO2の排出量やエネルギー消費量が少なく、環境重視の時代にあって、最も注目されなければならない交通機関であろう。

課題

 このように、北海道新幹線への期待は高まるが、現実には解決しなければならない課題は多い。小泉内閣の構造改革が進展、大型公共事業が批判され、国や自治体ともに厳しい財政状況の中、建設費1兆5,000億円をどう捻出するか。また、新幹線開業後、JRから経営が分離される並行在来線の運営について、道と沿線自治体との協議も始まったばかりだ。
 これら諸課題の具体的な解決策を打ち出すとともに、新幹線がなぜ北海道に必要なのかを日本国民全体が納得する形で主張できるか。北海道新幹線実現の大きな鍵は、この点にあると言えそうだ。


新幹線が開業すれば、東京-札幌間は乗り換えなしの3時間57分で到達。道民の夢は実現するか。(写真は山陽新幹線「ひかりレールスター」・岡山駅にて)
▲新函館(仮称)駅周辺地区の整備イメージ


北海道新幹線建設促進期成会会長
北海道知事 
堀 達也

着工に向けて大きな前進
北海道新幹線(新青森・札幌間)の工事実施計画認可申請を受けて
 1月8日(火)、11時に、道に対し日本鉄道建設公団から、北海道新幹線に係る環境影響評価書の手交があり、また、同日午後には同公団総裁から国土交通大臣に対して、工事実施計画の認可申請を行う旨の連絡がありました。
 工事実施計画認可申請は、北海道新幹線にとって着工を前提とした手続きの開始であり、着工に向けての大きな前進と受けとめております。
 これも長年にわたり、建設促進に取り組んでこられた関係者の皆様が一丸となって努力してきた賜物であります。
 北海道新幹線は、我が国の高速交通体系の形成上不可欠なものであり、青函トンネルの有効活用や大幅な時間短縮などによる利便性、地域間交流など北海道の発展の基盤として果たす役割は誠に大きいものと考えております。
 この認可申請を機に、道民を始め関係者の皆様と一致協力して、1日も早く北海道新幹線が着工されるよう、国などの関係機関に対しまして積極的な要請活動を展開して参りたいと考えております。

【北海道新幹線への期待─沿線自治体の首長に聞く】

◆木古内に降りてもらえるようなまちづくりを 北海道木古内町長 大森 伊佐緒氏
◆新函館駅を道南圏発展の核に 北海道大野町長 吉田 幸二氏
◆北海道新幹線は夢ではない 北海道八雲町長 長谷川 洋二氏