建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年2月号〉

INTERVIEW

国際海上コンテナターミナル(水深15m)着手

世界各地との航路を持った国際貿易港

国土交通省 九州地方整備局
博多港湾・空港整備事務所 所長 杉野 浩茂氏


杉野 浩茂 すぎの・ひろしげ
平成2年4月運輸省 第二港湾建設局 横浜調査設計事務所
平成3年7月運輸省 運輸政策局 環境海洋諜
平成4年4月運輸省 運輸政策局 環境・海洋課環境第一係 係長
平成6年4月運輸省 港湾局 計画課 第一計画係 係長
平成8年5月運輸省 第五港湾建設局 中部新国際空港調査室 補佐官
平成10年7月運輸省 鉄道局 施設課 専門官
平成12年4月中部国際空港株式会社 企画部 施設計画室 企画グループ グループリーダー
平成13年1月中部国際空港株式会社 施設部 施設計画室 企画グループ グループリーダー
平成14年7月国土交通省 四国地方整備局港湾空港部 港湾空港企画官
平成16年4月国土交通省 港湾局計画課 課長補佐
平成18年9月国土交通省 九州地方整備局 博多港湾・空港整備事務所 所長

いま博多が元気だ。わが国で最も古い国際貿易港が博多港。近年、東アジアの玄関口として、外国貿易コンテナの貨物取扱量が急増しており、アイランドシティ地区では博多港国際海上コンテナターミナルの整備事業が急ピッチで進んでいる。九州地方整備局博多港湾・空港整備事務所の杉野浩茂所長に最近の話題を聞いた。

――予想以上に活気がありますね
杉野
 博多港はコンテナ貨物を中心に伸びています。この10年間に全国でコンテナの貨物取扱量は1.5倍の伸びですが、博多港は2.4倍の状況です。今年(18年)も記録更新は間違いないでしょう。16年の取扱貨物量は4,179万トンで全国23位ですが、外国貿易コンテナで比較すると全国6位の取扱量になります。平成7年の256千TEUから17年の621千TEUへ2.4倍強の伸び。平成7年には国際海上コンテナ輸送の拠点となる「中枢国際港湾」に位置付けられました。船舶の大型化や貨物のコンテナ化の進展に対応するため、コンテナ専用ターミナルである香椎パークポートに水深13m岸壁2バース、アイランドシティには14m岸壁1バースありますが、施設が足りなくてコンテナ貨物があふれかえっている状態です。
――そこで水深15mのバース整備に着手したというわけですか
杉野
 北部九州における自動車関連産業の集積や国際分業の進展による東アジアとの輸出入が活発化していることもあって、8,000個以上のコンテナを積める世界最大級のコンテナ船の定期寄港に対応するバースの整備が緊急の課題になっていましたので、平成18年10月に着工式を行ったところです。通常15m級の公共岸壁の整備は5年ぐらいかかりますが、19年度末までに供用開始の予定です。港から空港まで15分、都市高速福岡インタ、大宰府インタにも近く、非常に便利です。週末に陸揚げされた荷物が月曜日の朝には仙台に運ばれています。今後も北九州と連携し、コンテナの取扱量を増やしていきます。博多の強みを生かし、アジアに向けた先進地を目指します。
――まさに福岡の玄関口ですね
杉野
 博多港の旅客輸送の拠点となっている博多埠頭と中央埠頭は、年間196万人が行き交う海の玄関口です。釜山への定期航路は、フェリー、高速船で日本一の海外旅客乗降人員を誇っています。高速船ですと博多港から釜山まで3時間足らずで行くことができます。  東京から見ると福岡は西のはずれですが、釜山まで200km、上海までは福岡〜東京間と同じ1千km。福岡市からは、東京、大阪はウナギの寝床のように映ります。現在、福岡の人口は140万人。20年前が116万人でしたので、どんどん増えています。アイランドシティの住宅用地分譲も好調のようです。都市にとって人口はパワーの源です。
――災害復旧工事の進捗状況はどうですか
杉野
 玄海島の被災住宅の復旧にはまだ時間がかかっていますが、博多港は18年度いっぱいで完了の予定です。荷役を止めるわけにいかないので、工程を調整しながら、復旧工事のスパンを決めながら対応してもらっています。止めると荷主さんに逃げられますから。シビアな対応が必要です。
――つぎに空港についてお伺いします。滑走路が一本ではそろそろ限界ではありませんか
杉野
 年間1865万人に利用されています。これは1895万人の大阪国際空港に次いで国内4位の旅客数。滑走路一本あたりの利用者数では国内トップ。これまで大きなトラブルは起きていませんが、国内線などは非常に混雑しています。  今後、福岡空港をどうするか。現状のままで近隣の近隣の空港と連携していくのか、それとも現空港の拡張か、あるいは新空港を求めるのか、国と県、市の3者がパブリックインボルブメントの手法で、広く市民から意見を聞きながら取りまとめることにしています。
――三池港の現状はどうでしょう
杉野
 三池港も元気です。現在の内港航路は水深7.3m、航路幅50mで、1,800D/W以上の船舶が入港する場合には潮待ちの状態になっています。現在、航路水深を10mに増深する整備を実施しています。有明沿岸道路の整備が進み、大型ショッピングセンター進出の話もあります。自然、地域との共生に配慮した取り組みが必要です。
船舶航行の安全と環境対策に配慮 隣接工区への影響に配慮
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