建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年3月号〉

特集・早期整備に期待 一般国道1号 第二京阪道路
交通混雑を緩和し、沿道地域の環境改善や地域開発を支援

京都府久御山町〜大阪府枚方市間平成15年春開通

明日に続く緑立つ道

国土交通省近畿地方整備局 浪速国道事務所

緑立つ道は、6車線の自動車専用道路、2〜4車線の一般道路と環境施設帯からなる国道1号バイパス「第二京阪道路」の愛称だ。京都と大阪を結ぶ延長約26.4kmの道路で、人と地域環境との調和を考えながら、計画された。大阪〜京都間の交通混雑を緩和し、沿道地域の環境改善や地域開発を支援する。一般国道1号をはじめとする幹線道路の交通混雑の緩和の他、沿道地域の環境改善、関西文化学術研究都市(学研都市)などの地域開発・整備の支援、関西国際空港へのアクセス強化、交通サービスの向上などを図ることを目的として計画された。京阪地域の道路交通の円滑化と広域的な都市圏の形成にきわめて重要な役割を担う都市施設として早期の整備が期待されている。
▲(仮称)枚方北I.C

複合的機能を持った新世紀を象徴するマルチ道路

地域の現状
現在、京阪間は幹線道路が少ないため、慢性的に渋滞しており、北河内地域でも幹線道路が渋滞し、生活道路にまで車があふれている。国道1号を利用して大阪市〜京都市間を移動する場合、渋滞時には2〜3時間もかかっている。
しかも、京阪間を結ぶ緊急輸送道路として、淀川右岸側では、国道171号と名神高速道路があるが、左岸側は、国道1号しかない。
この緑立つ道が整備されると、京都〜大阪間の所要時間が大幅に短縮され、移動時間が約1時間と大幅に短縮される。また、国道1号の渋滞が緩和され住宅街に入ってくる車も減り、生活道路の機能回復が図られる。
さらに、国道1号とともに淀川左岸側に位置し、大阪府地域防災計画で位置づけられた防災拠点を連絡する緊急輸送道路ネットワークの重要路線となる。
また、交通事故等による重体の場合、30分以内の治療が生死に影響するといわれるが、沿線地域である交野市を例に、この緑立つ道によって30分で到達できる病院数(三次救急医療機関)を見ると、現状の6倍へと大きく増加することになる。
人と環境に優しい道づくり
緑立つ道は、人や環境にも配慮した21世紀の道づくりを目指しており、クルマ・人・自然、そして地球にやさしい道路となるよう、さまざまな面に考慮しながら整備が進められている。
例えば、植樹帯には、自然のもつ「緑の効果」を発揮させるため、甲子園球場の約11倍の緑地面積を創り出す計画で、沿道地域の景観に潤いを与えることが期待される。また、自動車が出す騒音や排気ガスの影響を緩和する効果も期待できる。
道路の両側には、約20mの環境施設帯を設ける。これによって、車道と生活空間を分離することができ、騒音や振動、排気ガスなどが沿線地域に与える影響を和らげることができる。
また、歩行者も安心、安全、快適に使えるよう、両脇には、自転車歩行車道が整備される。歩道は、車椅子2台と大人2人が並んで歩けるだけの広い道幅(3.5m)を確保し、段差を最小限にするなど、障害者でも安心して、安全、快適に移動できるバリアフリーの歩行空間づくりを目指している。
▲慢性的な渋滞(寝屋川市太間町) ▲生活道路の大型車侵入(四条畷小学校付近) ▲イメージ図

▲松井地区
■阪神間と比べて脆弱な京阪神間の路線状況 

立体道路制度による土地の有効活用

リフレッシュ空間
住民の憩いの場となるよう、並木が並ぶ「環境施設帯」は、車道と分離し、安全面にも配慮している。
また、この道路整備に伴い、走行速度の向上によるpm、nox、co2の削減効果は大きい。渋滞が解消し、走行速度が向上することで、自動車から排出される粒子状物質(pm)、窒素酸化物(nox)、二酸化炭素(co2)が削減される。
道路空間の最大有効利用
道路の地下も有効活用を図る方針で、例えば、大雨等による浸水被害を防止するため、道路の地下に河川を設けて土地を有効活用するほか、共同溝や幹線下水道管などのライフラインを設置する。
道幅が約60〜80mあるので、大規模な火災発生時には、延焼を防止できる。また、災害時には、幅約20mの「環境施設帯」が、災害時の一時避難場所として活用できる。
さらに、立体道路制度による土地の有効利用も可能で、道路空間の複合的な利用によって土地を有効活用する立体道路制度を導入している。この制度を活用することで、道路事業者は土地を買収せずに道路をつくることができ、一方、土地の所有者は道路の上下空間に建物を建てることが可能となる。松井地区は、休憩施設として、全国で初めてこの制度が活用されている。
平成14年度の計画
本年度浪速国道では、木津川左岸〜国道307号(L=6.9km)間の高架橋や改良工事を継続するとともに、新たに舗装及び付帯施設工事等に着手し、平成15年春の巨椋池北ic〜枚方北ic(l=11.2km)間の部分供用を目指す。
また、国道307号〜門真JCT(L=16.2km)間では、今年度より寝屋川・門真市の一部において工事に着手するとともに、設計協議や用地買収なども引き続き進める。

▲イメージ図
▲土地の有効活用

【インタビュー】

緑立つ道の先に関西の明日を見る
国土交通省近畿地方整備局 浪速国道事務所 八木茂樹

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