建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年10月号〉

祝・竣工 上ノ国ダム 特集

流域の洪水や水不足の不安を解消

3月に最高水位97.90メートルに到達

北海道函館土木現業所 上ノ国ダム建設事務所

▲試験湛水で最高水位(97.90m)に到達(3月18日)

天野川水系目名川の北海道檜山郡上ノ国町内郷地先で整備されてきた上ノ国ダムが、いよいよ完成した。上ノ国ダムは洪水調節のほか、農業用水、生活用水を供給する多目的ダムで、天野川総合開発の一部だ。
重力式コンクリートダムで、高さは51.30m、総貯水量373万立方メートル、有効貯水容量311万立方メートル。
これによって、大雨、台風などによる大水を貯水池に溜め、川の氾濫を防ぐ。ダム地点の計画高水流量130立方メートル/秒のうち、120立方メートル/秒の洪水調節を行い、目名川沿川地域の水害を防ぐ。
また、常に安定した水を川に流し、ダム地点下流の既得用水の補給を行い、流水の正常な機能の維持・増進を図る。
かんがい期には、目名地区の農地72.64haに、目名橋地点などで平均0.2539立方メートル/秒、最大0.3272立方メートル/秒、年間3,006立方メートルの取水を供給する。
さらに、今後は市街地の拡大や産業の近代化に伴い、水需要が増加することが予想されることから、隣町・江差町の生活用水として、一日につき3,500立方メートルを供給する。
ダムはすでに稼働しており、この8月にはさっそく前線の停滞に伴う降雨のため、洪水調節が行われた。7日から10日にかけて52時間にわたって累計152ミリの雨が降った。このためダムへの流入量は、洪水発生の目安となる12立方メートル/秒を越えたため、9日から10日にかけて7万6,000立方メートルを貯水し、洪水調節を行った。さらに9日にはダムへの流入量が最大で14立方メートル/秒に到達した。この時の放流量は7立方メートル/秒で、洪水調節量も7立方メートル/秒。そこで調節の結果、水位の上昇を砂館橋地点で約35p低減させた。かくして、上ノ国ダムは、さっそく流水の安全な流下に効果を発揮した。
この9月には完成式が行われ、工事報告、ダム湖名の披露と表彰、記念植樹、テープカットと提頂道路の渡り初めが行われた。

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