建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年6月号〉

特集

東日本大震災
くしの歯作戦により震災翌日に11ルートのアクセス道路を啓開

東北地方整備局と管内建設業界の迅速な決断と実行力が奏功

▲国道6号 路面崩壊(福島県広野町)


 東北大震災から2ヶ月が経過し、復旧から復興に向かう気運が盛り上がり始める一方で、今なお瓦礫の撤去や犠牲者の捜索に追われる地域もある。そうした様々な活動において重要な生命線となるのが道路だが、管内を所管する国交省東北地方整備局は、徳山日出男局長の間髪入れぬ迅速な決断と指令によって、震災の翌日の12日には管内の内陸部を縦断する東北道、国道4号から主要沿岸都市へ向かう11のアクセスルートを啓開(緊急車両だけでも通行できる道路の確保すること)させる「くしの歯作戦」を実施。14日には14ルート、15日には15ルートへと着実に作業を進め、一週間後の18日には97%が通行可能となり、道路復旧は7割が完了した。さらに1ヶ月後の4月10日時点では、迂回路を含む42区間の通行が確保されるという驚異的なスピードで対策が進められた。
 これは、同整備局単独ではなく全国整備局の応援態勢として構築されていたTEC-FORCEにより、震災後の2日目からチームを現地派遣し、スピーディーに情報収集できたことが、素早い対策の実行を可能にしたと言える。
 それに基づき、被災した橋梁については応急組立橋を3橋設置したが、阪神淡路大震災を契機に、管内490橋の耐震補強を日頃から着実に進めてきたことで、落橋などの致命的な被害を防げたことは大きい。
 一方、災害時における緊急随意契約により、即座に工事契約が成立する発注システムと、地元建設業界と結んでいた災害協定により、すでに施工中の工事は原則中止命令によって、復旧対策に全力を集中できる体制を確立していたことが奏功した。この結果、地場建設業社全を含む52チームが、震災直後から即座に復旧作業に取りかかったのである。
 このくしの歯作戦によって、久慈市、宮古市、釜石市、大船渡市、陸前高田市、気仙沼市、南三陸町、石巻市は東北道、国道40号と結ばれており、今後は太平洋側でも縦断道路を整備することで、二本の桁を横軸で結ぶ梯子状の道路網が形成されることになる。

(写真・資料提供=国土交通省東北地方整備局)


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1. くしの歯作戦により震災翌日に11ルートのアクセス道路を啓開   2. 「くしの歯作戦」による国道啓開作業状況

3. 被災状況等の迅速な情報収集及び情報伝達の事例     4. 仙台釜石港(仙台港区)

5. 仙台釜石港(仙台港区)の臨港地区周辺    6. 東松山市 鳴瀬川河口付近  


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