寄稿
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▲ダムサイト全景(上流より) |
1.はじめに
奥胎内ダム建設地点は磐梯朝日国立公園内に位置し、周辺全域が保安林指定されているとともに、猛禽類をはじめ貴重な動植物が生息する自然豊かな地域である。そのため、当ダムの計画・建設においては自然環境への影響を最小限とするべく各種の環境保全対策がなされている。また、積雪5mにも及ぶ豪雪地帯のため、年間での施工可能期間が5月〜11月の7ヶ月と短い中、平成22年秋からのコンクリート打設開始に向け、堤体基礎掘削工を鋭意施工中である。
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▲基礎掘削・法面対策工 施工状況(右岸側) |
2.工事概要
奥胎内ダムは堤高82m、堤頂長198.9m、堤体積26万m3の重力式コンクリートダムである。
当ダムの特徴は、@堤体掘削ズリのコンクリート骨材原料としての有効利用、A造成アバットメント工法・タワークレーンによるコンクリート打設工法の採用による掘削土量・改変面積の縮減、B進入用縦坑からの仮排水トンネルの施工など、環境に配慮した計画があげられる。
工事経過は、平成15、16年で進入用縦坑からの仮排水トンネル掘削・覆工の施工を完了。平成16年10月の仮排水トンネルへの河川転流、上流仮締切工の施工に引き続き、平成17年より堤体基礎掘削工・法面対策工を施工中である。現在、全体掘削量29万m3の74%にあたる21万5千m3の掘削を完了している。
3.自然環境保全への取組み
前述のダム計画上の特徴のほか、施工においても種々の環境保全対策、資源の有効利用を図っている。
@ダムサイト周辺で確認された猛禽類の巣にCCDカメラを取り付け、インターネット回線で冬期間も猛禽類の営巣状況を常時確認できるシステムを構築。営巣状況の把握により、春先の施工開始時期・通行車両規制期間等を的確に判断し、施工にあたっている。
Aダムサイト、土捨場より発生する伐採材は、破砕後に副資材を添加、熟成させることにより基盤材を製造、掘削法面の緑化基盤材として場内で有効利用した。
その他、使用機械は猛禽類の警戒色である赤・黄色以外の塗装色を採用。夜間の照明は最小限とし、動植物への影響の少ないナトリウム灯を使用。騒音の発生する機械は建屋で覆い防音対策を実施。
このように種々の環境保全対策を実施し、国立公園内のダム建設に取り組んでいる。
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▲完成予想図 |
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▲広神ダム 右岸より堤体を望む(平成21年5月末) |
1.まえがき
広神ダムは、一級河川信濃川水系破間川支川和田川の新潟県魚沼市小平尾地内に建設される堤高80.5m、堤頂長225.0m、堤体積315,700m3の重力式コンクリートダムで、洪水の調節、流水の正常な機能維持及び発電を目的とする多目的ダムです。
工事は平成13年3月に着工し、平成16年6月にコンクリート打設を開始して、平成20年8月上旬にコンクリート打設完了しました。打設は15.5t固定式ケーブルクレーンによる拡張レヤ工法で実施しました。現在、試験湛水に向けて周辺整備工事等を鋭意施工中です。
広神ダムは本体コンクリート施工中の平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震の本震(17時56分発生、M6.8)震央から約10.5km、最大余震(18時34分発生、M6.5)震央から約4.3kmに位置し、ダムサイトが強い地震動を受けたものと推測されました。地震後は一時的な工事中断を余儀なくされましたが、各種調査と対策工を実施し、平成17年6月にコンクリート打設を再開しました。
また、平成16年7月の新潟・福島豪雨、平成17年6月の梅雨前線豪雨、同年8月の集中豪雨により、河川水が上流仮締切を越流し、堤体打設面上に土砂が堆積する等の被害を受けましたが、直ちに復旧作業を開始することで工事中断を最小限にしました。
2.施工にあたっての留意点
広神ダムでは、品質確保、環境保全のためにいくつかの創意工夫等を実施しました。主なものを以下に示します。
@マスコンクリートの暑中コンクリート対策として、練混水への冷水使用、粗骨材への散水、細骨材貯蔵ビンへの散水等を実施しました。
A固定式ケーブルクレーンが主打設設備であるため、狭隘部打設用として大型シュートを設置したり、別途25tラフタークレーンを堤体内に配置したりしました。また、堤頂部打設用として桟橋上を左右岸方向に移動できるスプレッダコンベヤを設置して、コンクリート打設をしました。
B建設副産物対策として濁水処理設備他から発生する脱水ケーキ等をセメント系固化材で固化処理し、盛土材として有効利用しました。
3.地域に喜ばれるダム造り
広神ダムでは、発注者と協力して現場見学会等の実施や地元行事への参加を積極的に行い、地元の方々とのコミュニケーションを図ることでダム工事に対する理解を深めていただき、円滑な工事進捗に協力していただきました。今後も工事内容の伝達発信等を積極的に行い、地域に喜ばれるダム造りを目指して、平成22年度の完成まで鋭意努力してまいります。
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▲鵜川ダム完成予想図 |
鵜川ダム本体建設工事を施工する前田・東急・植木特定共同企業体所長の水野秀雄です。平成16年の着工以来鋭意施工して参りました仮排水路トンネルへの転流を平成19年12月に実施し、平成20年度より本体基礎掘削を行っております。
その間、平成16年17年と続いた集中豪雨、平成16年10月の中越地震、平成19年7月の中越沖地震という二度の大地震を経験いたしましたが、「工事の安全・地域との融和・環境保全」をモットーとして無事に工事を進めております。
工期が平成30年までと長いため、地域に伝わる重要無形民俗文化財「綾子舞」等の理解を深め、地域と連帯していくとともに、今後も「清流鵜川の環境保護」に努め工事を進めてまいります。
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