公取委〃官製談合疑惑〃で岩見沢市などに立入検査                                       

検査先の建設協会に市元幹部が天下り

岩見沢市役所が発注する土木工事をめぐり市建設部の主導で談合を繰り返していた疑惑 が表面化、公正取引委員会が平成14年5月21日、同市建設部建設管理課、まちづくり推進課、維持管理課、建築課、岩見沢建設協会と土木建設会社など約20か所を立入検査した。談合疑惑の背景には市外の業者を排除する空知地方独特の業界体質が指摘されており、建設部幹部が工事の落札額と業者をあらかじめ決める、「受注調整」を行っていた疑いが持たれている。

道の「官製談合」と類似

平成11年10月に道発注の農業土木談合事件で公取委が旭川農業土木協会に立入検査に入った時は、各支庁が業者ごとの目標額を過去5年間の実績を基に一定の算式により工事を割り付けし、道OBが歴代幹部を務める協会に「予定業者」を連絡し、本命業者は他の指名業者に連絡をしていた。また、一部で予定価格の漏洩もあった。

 公取委の立ち入り調査された岩見沢建設協会の大川大海会長、村田博好事務局長はともに元市建設部幹部。村田博好事務局長は官製談合は否定したものの、過去三年間の受注実績を踏まえて仕事を分け合うため指名業者が事前に〃本命業者〃を決めていたことを認めた。大川大海会長は昭和55年同市土木部管理課長を退職し建設会社を経営。事務局長の村田氏は市役所OBで水道部長、建設部長を歴任し入札に関する指名委員会の委員を経験している、退職後の95年から現職。昨年七月からは土木事業協同組合の事務局長も兼任している。

予定価格と同額で落札

 岩見沢市は平成13年度、384件の公共工事を発注したが、予定価格に対する落札価格の 割合である落札率が95%超が全体の約九割を占め、落札率が異常に高かった。うち八件は予定価格と同額だった。これは極めてまれで、「予定価格と落札価格が一致することはまずありえない」(札幌市)。市民会館建設の入札でも落札率は弱電設備が100%だったほか、主体工事98.94%、空調設備99.06%、給排水衛生設備99.06%、強電設備98.30%と軒並み高率 だった。

競争政策で生き残る企業

 これは業者間の競争原理が働いていないことを裏付けており、〃満額〃の落札率はどう考えても予定価格が発注者サイドから漏えいしていたと見るのが自然だ。地元業者に対する一種の救済措置というか、いうなれば業界対策で税金が食い物にされているということだろう。発注側と建設業界の要になる建設協会が、公共事業の調整割付するのは、時代に対応した公共事業の効率化に逆行するもたれ合いの構図で根絶されねばならない。地方の自治体は競争政策で足腰の強い地場建設業を育てる公共事業の発注の取組が急がれる。