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【特集 わが国の鉄道整備最前線 PARTT】
11号線(半蔵門線)の延伸工事である、水天宮前〜押上間は2003年春の開業をめざし急ピッチで建設が進んでおり、現在は残りの土木工事と設備工事を行い、開通に向けての最終段階に入っている。11号線は、世田谷区の二子玉川から渋谷・大手町・水天宮前・押上等を経由し千葉県松戸に至る計画路線として「運輸政策審議会答申第7号」で策定されたもので、「二子玉川〜渋谷」間を東急電鉄が、「渋谷〜水天宮前」間を半蔵門線として営団がそれぞれ建設し、既に営業を行っている。
今回は、営団が所管する半蔵門線の延伸工事として、現在端末駅となっている水天宮前駅から、押上駅までをつなぐ路線の建設事業を紹介する。
この路線は、隅田川東岸地域を走る都営大江戸線、都営新宿線、JR総武線、京成押上線、都営浅草線の各路線と連絡して“鉄道ネットワーク”を充実させ、利用者の利便性を高めるものとして期待されており、また、押上では東武伊勢崎線と相互直通運転を行う予定で、これにより既に相互直通運転を行っている田園都市線を介して、神奈川県から東京都を貫通して埼玉県に至るという長大路線となる。
■開削工法 掘削地盤は超軟弱な沖積粘性土層であるため、周辺地盤への影響を考慮し、土留めは遮水性に優れ剛性の高い本体利用の地下連続壁(厚800mm)を採用している。更に、掘削に伴う土留めの変形を最小限に抑えるため、掘削内には生石灰杭を施工し、掘削の進行に併せて、床版鉄筋コンクリートを先行打設する逆巻工法を採用して支保工の剛性を高くしている。 |
■シールド工法 シールド施工区間は、超軟弱な沖積粘性土層から洪積のローム層砂質土層、粘性土層そして砂礫層と多彩な地盤が対象となっており、トンネルも単線型、複線型、三連型と多様な形状となっている。 シールド掘進地盤が互層を成し変化に富む区間並びに大断面の三連シールド区間については、泥水式シールド工法を採用し、殆ど一様な単一層(沖積粘性土層)となる区間については、シールド発進基地の条件も考慮し泥土圧シールドエ法を採用している。 これら各々のシールド施工区間では、対象地盤の特性、トンネル形状、線形、施工環境等を十分考慮し、各々特徴を特った6台のシールド機による施工で、安全性と経済性の確保を図っている。 側部先行・中央揺動型三進シールドや大断面偏心多軸式泥土圧シールドに代表される新技術の開発を含め、各々、シールド技術の粋を集めた多様なシールド工法を採用しています。 また、セグメントは幅1500mmの鉄筋コンクリート平板型(高剛性継手採用)を標準とし、経済性並びに剛性・止水性の確保を図っている。 なお、三進シールドに今回初めて鉄筋コンクリートセグメントを採用している。 |
帝都高速度交通営団 建設本部 11号線押上工事事務所長 入江 健二 何と言っても工事区間の軟弱地盤への対応が施工上のキーポイントであり、事故が無いよう安全には全力を傾注して参りました。また、住宅等が密集している箇所での工事であるため、沿道のみなさまとのコミュニケーションは非常に大切です。みなさまのご理解があったからこそ、これまで工事が順調に進めることが出来たと言っても過言では御座いません。 残りの工期を待ちに待った開業に向けて、引続き慎重にかつ安全に工事を進めて参りますので、変わらぬみなさまの温かいご協力を宜しくお願い申し上げます。 |