〈建設グラフ2001年1月号〉

新 春

 平成の大改革が実現、再編省庁がスタート
 国土交通省新体制で、21世紀を切り開く

 
 
▲中央合同庁舎3号館(六本木通り)

 2001年1月を迎え、いよいよわが国行政機構が新体制でスタートした。これまで、1府22省庁だったのが1府12省庁へと大幅に変革され、これにともない、1,200課室に上っていたセクションは1,000課室に削減された。さらに国家公務員定数も、向こう10年で25パーセント削減する予定だ。一方、これまで官主導と揶揄されてきた政治機能の回復強化を目指し、首相の補佐官として政務担当の内閣官房副長官2人と事務担当副長官、内閣官房副長官補3人、その他内閣広報官、内閣情報官を新設した。こうした大改革の中でも、特に注目されるのは、全公共事業予算の8割を所管し、最多の許認可権を掌握する国土交通省だ。

◆8兆円7万人2,500件

 公共事業発注官省は、建設省(国土地理院など)、運輸省(海上保安庁、気象庁、海難審判庁など)、国土庁、北海道開発庁の4省庁が統合した国土交通省が最大官省となった。年間予算7兆5,450億円で、わが国の公共事業予算の8割がここに集中し、定数6万8,250人を擁する。
 国土交通省設立の目的は、「国土の総合的・体系的な開発および利用、そのための社会資本の総合的な整備、交通政策の推進、気象業務の健全な発達並びに会場の安全及び治安の確保を図ること」とされる。これまでは、国土庁が国土のグランドデザインを描き、開発方針を決め、これに基づいて道路、河川、住宅、下水道、公園といった一般土木の公共事業を建設省が行い、空港、空港施設、港湾、港湾施設といった輸送施設の整備は運輸省が行ってきた。また、北海道開発法に基づき、北海道内での道路・河川整備と維持管理は、北海道開発庁が一元的に行ってきたが、省内の一局に格下げとなった。これによって、今後はこれら公共事業が、一人の大臣の名において、一省の事業として実施されることになった。
 のみならず、許認可権最多省であった運輸省の合併にともなって、全許認可権は総計で2,500件にも達した。業務も、官庁営繕、住宅、土地、不動産、水利、鉄道、自動車、気象、海上保安、観光と、幅広くなる。さらに、政策官庁であった国土庁の合併によって、公共事業の執行と許認可業務だけでなく、政策立案機能を持つことになった。


▲第3号館と新2号館(霞ヶ関坂)

◆本省は1官房13局、地方整備局は8局8部体制

 省内の組織は、大臣官房は大臣以下2副大臣と政務官、事務次官で構成される。官房三役を除く省内組織は、総合政策局を筆頭に国土計画、土地・水資源、都市・地域整備、河川、道路、住宅、鉄道、自動車交通、海事、港湾、航空、北海道の13局体制となる。
 これらの下に、地方出先機関として、北海道開発局を除き地方整備局が8カ所に設置される。局内は総務部を筆頭とする8部体制となる。
 これまで建設省には、地方建設局が東北(宮城県仙台市)、北陸(新潟県新潟市)、関東(埼玉県)、中部(愛知県名古屋市)、近畿(大阪府大阪市)、中国(広島県広島市)、四国(香川県高松市)、九州(福岡県福岡市)に配置されていた。
 だが、運輸省は港湾建設局が第一(新潟県新潟市)、第二(神奈川県横浜市)、第三(兵庫県神戸市)、第四(山口県下関市)、第五(愛知県名古屋市)の5局体制だった。
 地方の運輸局は、東北(宮城県仙台市)、新潟(新潟県新潟市)、関東(神奈川県横浜市)、中部(愛知県名古屋市)、近畿(大阪府大阪市)、中国(広島県広島市)、四国 (香川県高松市)、九州(福岡県福岡市)にあり、ほぼ地方建設局と同じ体制だ。
 したがって、港湾建設局の体制整備が大きな課題となった。特に、東北は第一、第二港湾建設局が分割管理し、四国、近畿、中国は第三港湾建設局、九州は第四港湾建設局が所管していたため、東北地建、四国地建、九州地建に相当する組織がなく、大がかりな組織と所管エリアの再編が必要だった。

◆第一、第二を分割再編、第三は分割、第四は九州に併合

 これまで、東北地方の港湾空港整備は、奥羽山脈を堺に日本海側は第一港建、太平洋側は第二港建が所管してきた。だが、今回の再編を契機に所管エリアを再編し、青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島の6県は、東北地方整備局の港湾空港部が所管することになった。
 また第三港は建近畿地方整備局港湾空港部に移項し、これまでの所轄エリアは、四国、中国を各地方整備局港湾空港部に分離し、近畿だけを所管することになった。また、第四港建は九州地方整備局の港湾空港部として九州と下関市を所管、下関市を除く山口県は中国地方整備局の港湾空港部が所管することになった。
 所在地は基本的に現在のままで、関東地方整備局の本局は埼玉県に移転しているが、港湾空港部は現在の横浜市に残る。近畿地方整備局は、本局が大阪市で、港湾空港部は神戸市に残る。九州地方整備局も、本局は福岡市で、港湾空港部は下関市に残ることになる。
 北海道は、従来の北海道開発局がそのまま所管する。同局は局長官房を筆頭に、道路、河川整備を所管する建設部、農業、水産基盤整備を担う農水部、港湾・空港整備を担う港湾空港部(旧港湾部)で構成される。これまで、農水部と港湾空港部は、農林水産省、運輸省の広域人事が行われていたが、建設部だけは建設省の埒外にあり、地元だけで異動が行われてきた。だが、今後は同じ大臣の下にあるため、広域化する可能性もある。
 これによって、縦割り行政を解消し、連携が強化されれば、政策立案から事業実施にかけてスピードアップすることが期待される。事業実施がスピードアップされれば、事業費のコストダウンを図ることも可能だ。
▲中央合同庁舎第2号館(桜田通り) ▲第2号館と第3号館(首都高速都心環状線)