〈建設グラフ1998年12月号〉

上の階層へ

《平成10年10月22日「白糸トンネル(仮称)」が待望の貫通》

本坑着工から約8ヶ月で貫通、地元待望の開通は平成11年4月を予定

伊藤・地崎・協成JVが施工している一般国道229号の『白糸トンネル(仮称)』で、平成10年10月22日に、待望の貫通式が行われた。
 開通式は、北海道開発局小樽開発建設部寿都道路建設事業所の高野忠孝所長(後志管内・島牧村側)と、施工者を代表して伊藤組土建鰍フ平野良弘建設本部長(桧山管内・瀬棚町側)による発破の儀で始まった。両者が同時に発破機を作動させ、無事に貫通。
 続いてJV協力会社の島牧、瀬棚両作業所の代表者による清めの儀が行われた。
 その後、島牧村の水守義則村長、瀬棚町の平田泰雄町長らが歩み寄り、事故から1年2ヶ月ぶりに握手を交わした。
 このトンネルは、平成9年8月25日午後2時30分頃に発生した「第2白糸トンネル(島牧村持田)」の崩落事故以来、不通となっていた区間を山側に新しいトンネルで迂回するルートで復旧が図られることになった。平成9年11月から工事に着手し、平成10年2月27日から(瀬棚町側は同年1月15日)本坑の掘削に着手していた。
 本坑工事は、不通区間の早期解消をめざし、全国的にもあまり例がない3交代・24時間体制で行われた。掘削は、島牧村側と瀬棚町側の両側から1日当たり、約10mのペースで進められてきた。
 トンネルの諸元は、延長が1,806m、幅員が9m(車道3.25m×2車線、路肩0.50m×2、管理用通路0.75m×2)で、伊藤・地崎・協成JVが施工している。
 一般国道229号は、追分ソーランラインと呼ばれ、風光明媚な海岸線を通り、点在する奇岩など観光資源が豊富な路線。また、地元住民にとっては、欠かせない生活道路として、その役割は非常に大きく、地域の動脈ともいえる。
 そのため、1年以上に及ぶ同路線の不通により、地元住民の不便さはもちろん、今夏の観光シーズンには入り込み客が低下するなどの影響も出ていた。
 しかし、平成11年のゴールデンウィーク前となる4月には、いよいよ開通となるため大きな期待が寄せられている。
 貫通式を行った伊藤・地崎・協成JVの和田博恵所長によると、「4月に開通させるとなると、10月には貫通させなければならないが、通常の工程では貫通が1月になってしまう。そのため、24時間をフルに使って工事を進めなければならなかった。3交代制で施工を進め、食事や休憩なども交代でとり、作業が中断しないようにした」という。開通時期が決められた上での工程管理は、かなり厳しい作業条件を強いられたようだ。
 「この路線は、地元住民にとっては、大切な生活道路。一日でも早い開通は我々も同じ願い。だが、そのために安全管理を怠るわけにはいかない。間断無く作業を進めるため、徹底した自己管理による一人ひとりの安全管理が必要となった」という。
 また、4月の開通に向けて「今後は、電気や舗装など、多数の企業と人員が作業に入るので、今まで以上に安全管理を徹底し、無事故で4月の開通を成し遂げる」と、力強く話していた。

平成9年11月に着工

本坑がついに貫通

ズリ搬出作業状況

10月22日 貫通式

発破の儀 高野忠孝小樽開建寿都道路事務所長

乾杯の音頭をとる平田瀬棚町長(左)と祝辞を述べる水守島牧村長(右)
瀬棚町長と島牧村長が待望の握手を交わす

樽御輿の儀

HOME