〈建設グラフ1998年3〜4月号〉

北海道開発局 国道229号復旧工事の概要

【一般国道229号 古平町 豊浜トンネル工事】

前田・草別JVが施工している「一般国道229号古平町豊浜トンネル工事」は、平成13年秋の開通を目指し、現道の豊浜トンネル内部で分岐し、セタカムイトンネルの内部で合流する延長1,260m、幅員10.25mの規模。現在は、作業坑の掘削が行われている。


 この工事は、短期間での施工が要求される。このため、「豊浜トンネル復旧工法技術委員会」(今田徹委員長 東京都立大学)は、現道ルート案と迂回ルート案を提案した。現道ルート案は、応急復旧工事で採用した「押さえコンクリート工」を大規模に嵩上げし、斜面の安定を図るもの。一方、迂回ルート案は、崩落箇所を山側に迂回するトンネルを新たに掘削し、現豊浜トンネルと現セタカムイトンネルとを結ぶというもの。
 北海道開発局でこの2案を比較検討した結果、現道ルート案では、現道上で大規模な構造物を建設することとなり、長期間の通行規制が必要となるため、地域住民の生活や産業活動に与える影響が大きくなる。また、この地域は国定公園内であり、周辺の自然環境への配慮も必要となることなどから、迂回ルート案を選定した。
 新トンネルのルート設定には、走行の安全性を考慮して、拡幅せずに必要な視距を確保できる曲線半径(R=330m)以上を用いている。また、急崖斜面に沿って通過する区間は、地形・地質条件を考慮して、トンネル位置を急崖斜面よりトンネル内空覆の3倍程度の離れを確保する事を定めている。
 この結果、豊浜トンネル古平側坑口から余市側約300mの地点で分岐し、セタカムイトンネル内に接続する延長1,260mのバイパストンネルを掘削することになった。これにより総延長は2,228mとなる。
 施工にあたっては、セタカムイトンネル側に作業坑を設け、そこから新トンネルを掘削することにより、通行規制の短縮を図っている。
 工事を担当している前田・草別JVの盛春雄所長は、「現道交通の安全確保はもちろん、作業員の安全管理や粉じん対策等の健康管理にも充分配慮して工事を進めたい。また、自然環境にも細心の注意を払っている。」と話している。

▲平成10年1月22日撮影

 

本坑

作業坑
トンネル延長 L=1,260.51m L=288.00m
掘削工法 NATM(機械掘削) NATM(機械掘削)
掘削工 L=1,260.51m L=279.18m
支保工 鋼製支保工 N=960基
吹付コンクリート V=7,044m3
ロックボルト N=18,870本
鋼製支保工 N=71基
吹付コンクリート V=609m3
ロックボルト N=2,574本
防水工 防水シート A=27,973m3

覆工 覆工コンクリート V=13,989m3

既設トンネル補強工 ロックボルト N=6,596本
締付ボルト N=126本


掘削土量 V=93,779 V=9,251m3
仮設工

仮設備一式

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