〈建設グラフ2001年3月号〉

巻頭言


21世紀の国土のグランドデザインについて

国土交通大臣 扇 千景


 現在、我が国は、少子・高齢化、高度情報化、環境問題への関心の高まり、経済社会のグローバル化等の変化に伴い、これまで我が国を支えてきた経済社会システムを抜本的に改革する歴史的な転換期を迎えております。
 このような経済社会情勢の変化を背景とした中央省庁等改革において、運輸省、建設省、北海道開発庁、国土庁は、国土政策、社会資本整備、交通政策等を総合的に推進することを任務として、1月6日に国土交通省に移行しました。今後は、統合のメリットを活かすことにより、21世紀の国土のグランドデザインを念頭に置いて、無駄なくスピーディーに、またコストダウンを図りつつ、質の高い施策を展開し、今般の改革が国民のために良かったといえるように努めていく所存です。
 国土交通省の使命は、人々の生き生きとした暮らしとこれを支える活力ある経済社会、日々の安全、美しく良好な環境、多様性ある地域を実現するためのハード・ソフトの基盤を整備することにあると認識しております。この観点から、
○ 全国計画から地方計画、都市計画までを体系化し、また、基幹的交通ネットワークから身近な居住環境整備までを対象とし、都市と地方を通じた安全でバランスのとれた国土の適正な整備・管理の戦略的な推進
○ 陸・海・空にわたる、交通施設、交通サービス等のハード・ソフトが一体となった総合的な交通体系の整備の推進
○ 事業間の連携、費用対効果分析を含む事業評価、コスト縮減、入札契約制度の一層の改善等による、社会資本の整合的かつ効率的な整備の推進
等の施策を進めていくこととしておりますが、統合のメリットを目に見える形で具体化していくためには、職員一人一人の意識改革が強く求められているところです。
 他方、我が国の経済状況に目を転じますと、景気は緩やかな改善を続けているものの、しっかりとした回復軌道に乗せるためにも、公共事業には大きな期待が寄せられております。特に、北海道においては、北海道拓殖銀行の破綻、有珠山噴火の影響などから、依然として厳しい状況が続いております。このため、平成13年度政府予算案については、施策の融合化等による統合のメリットがあがる分野への重点化を行いつつ、公共事業関係費として、前年度当初予算と同程度の規模の国費7兆2,511億円を確保したところであり、非公共事業関係費8,409億円と合わせ、所管事業の円滑かつ着実な執行に、鋭意、取り組んでまいる所存です。
 以上、私の所信の一端を申し述べましたが、今後とも、国土交通行政の推進に、国民の皆様の一層の御支援、御協力をお願いいたします。また、本年は、2001年という大きな節目の年であります。皆様方にとりまして希望に満ちた大いなる発展の年となりますことを心より祈念いたします。