建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年2月号〉

シリーズ・コシヒカリのふるさと
新潟県の農業農村整備


魅力と競争力のある低コスト農業の実現に向けて

上越農地事務所

笹ケ峰ダム
国営関川農業水利事業として昭和58年に竣工。関川の下流部に広がる高田平野・約7,000haの水田の安定した水源として、本地域の農業生産性の向上と、農業経営の安定化のため、昭和59年より国営造成施設県管理事業として新潟県が管理・運用を行っている。

 上越農地事務所は、新潟県の南西部、戦国時代、勇猛果敢で全国に名を馳せた上杉謙信の居城・春日山城のある上越市に位置し、所管区域は上越市、新井市及び中頸城郡の2市5町5村で、その面積は約1,100平方キロメートルである。北部は日本海に面し、東部は米山付近で柏崎市、刈羽郡に接しており、その他の大部分は東頸城郡の丘陵地帯に隣接している。
 また、南部は妙高山を主体とする火山灰土の高原で長野県と接し、西部は西頸城郡に連なる山岳地帯である。中央部には、1級河川関川が南から北へ流下して日本海に注いでおり、その流域は広大な頸城平野を形成している。
 管内の耕地面積は、18,557haで肥沃な穀倉地帯だ。年次計画的に土地基盤整備事業が進められてきたが、ガット・ウルグァイランド国内対策として国際環境に対応した競争力のある「力強い農業構造」の構築に向けて、担い手育成・低コスト農業の実現を目指した大区画ほ場整備を中心とする、高生産性農業基盤の整備が展開されている。

■主要事業

ほ場整備事業
 当地域のほ場整備の特徴は、区画が1haの大区画、排水路の暗渠化と併せた農道ターン方式、用水は加圧パイプライン方式で自動給水栓により農作業や水管理が効率的に行えるように整備されている。
 その結果、頸城村等のほ場整備の完了した地域では、県下で最も農地集積が進んできている。
 また、ほ場整備を契機に、麦大豆生産拡大事業等の汎用化の支援となる基盤整備と併せた大豆の本作化に向けた取り組みがなされ、食料自給率の向上となる大豆の生産等が年々増大してきた。これに併せて生産組織等の増加が図られてきており、ほ場整備事業の効果が表れてきた。
地すべり対策事業
 管内には地すべり地帯が広く分布し、毎年災害が多く発生しており、これが農業経営面はもとより、住民の日常生活にあっても重大な障害となっている。なかでも板倉地域は、全国でも有数な地すべり多発地帯である東頚城丘陵に位置しているため、毎年地すべりが発生している。
 このため、同地区は農林水産省の直轄地すべり対策事業として、その他の地域は県営地すべり対策事業として実施されている。
その他
 この他には、高生産性農業基盤整備事業としてかんがい排水事業、農道整備事業、ため池等整備事業等、中山間地域対策事業として農地環境整備事業、中山間地域総合整備事業、ふるさと水と土ふれあい事業等が実施されている。
 また、快適で美しい田園空間の形成、立ち遅れている農村の生活環境の整備を図るため、農村総合整備事業、農業集落排水事業が、豊で潤いのある生活環境を実現する水辺空間、親水空間を創造するために、県営地域用水環境整備事業が実施されている。
環境との調和
 管内の課題としては、魅力と競争力ある低コスト農業の実現に向けたほ場整備事業の推進が最優先課題であるが、多面的機能を有する土地改良施設の管理事業についても、管理事業と関連する基幹的水利施設更新事業とともに、環境との調和に配慮しながら積極的に推進していく。


ほ場整備事業・頸城南川地区 左は施工前、右は施工後