道の日へ

〈建設グラフ2000年8月号〉

特集 8月10日は道の日


圏央道(首都圏中央連絡自動車道)と共同溝整備事業

建設省関東地方建設局 横浜国道工事事務所長 稲寺 隆

稲寺 隆 いなでら・たかし
長野県小諸市、昭和26年生。
金沢大学 大学院(修士)。
昭和 51年 4月 建設省入省
    57年 4月 九州地方建設局
          福岡国道工事事務所 調査課長
    59年 8月 九州地方建設局
          道路計画第二課長
    61年 4月 沖縄開発庁 沖縄総合事務局
          道路建設課長
    62年 11月 自治省 消防庁
           危険物規制課長補佐
平成 2年 4月 高知県 土木部 道路課長
    5年 1月 建設経済局 調査情報課
         建設専門官
    7年 7月 鹿児島市 助役
    9年 4月 常陸工事事務所長
    12年 4月 横浜国道工事事務所長


首都圏連絡中央道路(さがみ縦貫道路)

神奈川県の道路網構想図

全体計画

 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)は、首都中心部から半径約40km〜60kmの位置に計画されている延長約300kmの自動車専用道路であり、高規格幹線道路(全国14,000kmネットワーク)としても位置づけられている。都心からの放射状道路をリンクする圏央道が完成すれば、都心を通過するだけの交通を排除し、また、都心近郊の交通を適切に分散導入することにより渋滞が緩和され、走行経費の節約や、走行時間の短縮が実現する。また、横浜、厚木、八王子、川越、つくば、成田、木更津等の中核都市を連絡することで、都心部に集中しがちな業務機能等を適切に分散させ、地域開発を促進するなど、首都圏のさらなる発展の重要な役割を担うこととなる。

神奈川県内における計画

 さがみ縦貫道路、高速横浜環状南線、横浜湘南道路は、首都圏中央連絡自動車道として位置づけられている。
●さがみ縦貫道路
 さがみ縦貫道路は、新湘南バイパスを起点とし、第一・第二東海自動車道、厚木秦野道路等に接続する自動車専用道路である。基本的に高架構造であり、相横川とその沿川地域の良好な自然環境等と調和を図る計画となっている。
●高速横浜環状南線
 高速横浜環状雨縁は、横浜環状道路の一部を成し、横浜横須賀道路から一般国道1号を結ぶ自動車専用道路で、途中、栄I.C・J.C.Tにて横浜湘南道路と接続している。
 全線の7割近くが地下または掘割構造であり、残りの区間でも土地利用状況に合わせ20m幅の環境施設帯を設けるなど、周辺環境と十分な調和を図る計画となっている。
●横浜湘南道路
 横浜湘南道路は、高速横浜環状南線の栄I.C・J.C.Tを起点とし、途中、一般国道1号の地下を通り、新湘南バイパスと一般国道1号に接続する道路であり、ほとんどをトンネル構造としている。現在、都市計画決定に向け手続き中である。
 圏央道による整備効果 
 年々混雑を極める首都圏の交通事情。その解消のためにさまざまな道路整備が進められていますが、その中核となるのが3環状9放射ネットワーク構想である。
 現在、放射方向については整備が進んでいるが、環状方向は中央環状の東側、外かんの関越道から常磐道の間と圏央道の一部だけとなっているのが現状である。
 環状道路が完成し、放射方向の幹線道路と効率良くネットワークすることができれば、都心方面に流入する交通の適切な分散導入や通過交通を迂回させることができ、首都圏の慢性的な交通混雑の緩和に大きな効果が期待される。
●さがみ縦貫道路
 県中央部においては、南北に走る主要幹線道路が不足しているため、交通渋滞が各地で発生し、沿道の人々の日常生活にも大きな支障をきたしている。
 さがみ縦貫道路は、これらの交通渋滞を解消するため茅ヶ崎市西久保(新湘南バイパスと連絡)を起点、厚木市上依知を終点とする延長約21.6kmの自動車専用道路である。
●高速横浜環状南線
 横浜市においては、市民生活、都市活動の基盤となる道路が不足し、市中心部に集中する交通により、各所で慢性的な交通渋滞が発生している。
 高速横浜環状南線は、横浜の中心部から半径約10〜15kmに位置する「横浜環状道路」の一部であり、横浜中心市街部の交通混雑の緩和を図るとともに、横浜市郊外間の連絡を容易にし、市の一体化を目的に計画された延長8.9kmの自動車専用道路である。
●横浜湘南道路
 神奈川県南部を東西に走る主要な幹線道路である国道1号は、近年の都市活動の発展に伴い、交通量が増加し、慢性的な交通渋滞が発生している。
 横浜湘南道路は、既に事業化されている「さがみ縦貫道路」「高速横浜環状南線」や供用中の「新湘南バイパス」と一体となって首都圏中央連絡自動車道の一部を形成し、広域的な交通の円滑化を図るとともに、地域交通の交通分担を適正化し、国道1号等の交通混雑を緩和する延長約7.5kmの自動車・専用道路である。
 平成12年度は、着工準備箇所として、早期都市計画に向け調査を推進し、併せて調査設計を進める。
●第二東海自動車道
 第一東海自動車道(東名高速道路)は、産業、経済、文化に大きく貢献しているが、交通需要の増大に伴い、その機能が低下している。第二東海自動車道は、これらの問題を改善するとともに、大都市間の交通路の強化を図る上で新しい日本の大動脈となる重要な路線である。


共同溝整備事業

 共同溝整備事業は、激増する自動車交通に対処するため、路面の掘削を規制し各種公益物件を効率的、機能的に整備集約し、安全に保護するとともに、道路構造の保全と円滑な道路交通の確保を図ることを目的として制定された「共同溝整備等に関する特別措置法」(昭和38年4月1日法律第81号)に基づき推進されている。
 また、阪神・淡路大震災を教訓として、信頼性の高いライフライン網の整備が求められ、平成7年度に「横浜・川崎地区共同溝整備基本計画協議会」が組織され、約220kmの共同溝整備基本計画が策定された。
 横浜国道工事事務所が担当する共同溝整備計画路線は、一般国道1号、15号、16号、246号、357号の5路線で総延長は約100kmである。このうち平成11年度までに共同溝を整備すべき道路として指定した延長(指定告示延長)は31.8km、建設告示延長は31.3km、本体完成延長は27.2kmとなっている。平成12年度は、一般国道1号尻手・末吉共同溝、浜松町共同溝、一般国道15号子安共同溝、一般国道16号保土ヶ谷共同溝の各共同溝で鋭意事業を行っていく。なお、管理延長は川崎国道工事事務所施工分の6.4qを含め、33.6qである。