コンペ報告《北方四島交流施設》


最優秀作品は北海道岡田新一設計事務所に栄誉

総数114点の応募作品はいずれ劣らぬ出来栄え

入選作品 竃k海道岡田新一設計事務所

【最優秀作品 竃k海道岡田新一設計事務所】


傾き、ねじ曲げられた樹木は、大自然の厳しさを訴え、はるかなる草原は、この地に「建築」を拒否する美しさがある。
 しかし、今「建築」は市街地から徐々に、この美しい丘陵を登り始めた。この地には、やはり「建築」は似つかわしくない。この地に厳しい風雪から人々や樹木を護る「盾」が必要である。この「盾」は単純で堅固であれば良い。市街地に見る「形」は不要である。丁度この地方で目にする防風林の木柵のように、季節の移り変わりの中で、時には自然と対峙し、また、時には共生する「盾」があれば良い。


〜北海道岡田新一設計事務所

配置図
▲配置図


 北海道は、「道立北方四島交流施設構想」設計競技の審査結果を発表、最優秀作品として(株)北海道岡田新一設計事務所の作品が栄誉に輝いた。
 北方四島居住者と元島民との間で平成4年4月から開始された相互訪問=ビザなし交流を通じて、北方四島在住ロシア人の日本に対する理解や領土返還問題に対する認識が高まってきているが、今後も相互理解をより深める上では、日ロ双方の語学学習や新たな発想を生みだすための交流拠点となる施設が求められていた。
 今回のコンペは、建築士法第23条に基づき、北海道内において登録し、その業務を6箇月以上(応募登録締切日現在)継続している一級建築士事務所を対象に行われた。その結果、総数114点の応募作品が集まった。
 今回入選した北海道岡田新一設計事務所の作品は、審査において重点として置かれた景観形成への配慮、住民利用の捉え方、施設機能の利便性、空間構成などの審議項目を最も高い評価でクリアした。
 審査委員会が知事に提出した審査講評では、「本作品は、建設地である根室市の厳しい自然や気候条件を十分配慮し、空間構成の意図も明確で、外部にあってはオープンスペースなどと上手に連携を図っており、内部にあっては個々の居室の前室に工夫を施し、交流の行動を呼び起こすような空間のイメージが伝わってくる平面構成となっています。
 また、建物形態にはシンボル性があり、しかも、やさしく自然とマッチして、根室市の霧の中でぼんやりと光り輝く姿が思い浮かぶ、実に雰囲気のある作品であります。」と評している。
 そのほか優秀作品にはアトリエアク、佳作には樺井仁実建築研究所、鹿島建設且D幌支店札幌一級建築士事務所、株ツ津建築事務所、鞄s市設計事務所の4点、特別奨励賞に10点が選ばれた。
 それぞれの作品についても、「最優秀作品に劣らないすぐれた特徴が見受けられ、過去や現在を踏まえ、未来に向けて交流を維持し深めようとした未来志向型の出来栄えを尊重した作品」と評された。
 これを受けて、住宅都市部は本年度から基本設計に着手し、来年度に実施設計した後、10年度に着工する見込み。



【最優秀賞 アトリエアク】
外観透視図 外観透視図