建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年11月号〉

シリーズ
わが国の農業 ─福岡県編─

水利に恵まれた福岡農業の中心地域

三潴町で都市化・高齢化対応の農村総合整備事業を展開

筑後農林事務所


▲三潴町の農村公園「水沼の里2000年記念の森」で築造した公園

管内概要

 筑後農林事務所管内は福岡県南部に位置し、筑後市、三潴町など19市町村(5市12町2村)を所管。福岡県の農林業にとっても重要な地域として位置づけられている。
 管内は、東に御前岳連山、西に筑後川・有明海、南に三国山を擁して、それぞれ大分・佐賀・熊本各県と隣接。北には耳納山地と高良台地が広がり、久留米市と接する。
 東部山岳地帯から南西部の有明海にかけてはなだらかな地形で、南北に走るJR鹿児島本線を境に、東部は丘陵台地及び山間地からなり、水源の多くはこの山谷を源として矢部川に注ぎ、水田を潤す。一方、西部は平坦な水田地帯であり、肥沃な土壌と水利に恵まれている。
 気象は、西九州内陸型及び有明海型に属する温暖多雨。管内の主要農作物は、米やい草、ぶどう、梨などとなっており、特にい草は、管内で県内シェアー100%を占める。

主要事業

農村総合整備事業(高福祉型) 三潴地区

事業の趣旨
 事業が進められている三潴町は、筑後平野のほぼ中央部に位置。町内の6割以上が農地となっており、その大部分が標高4〜6m程度の平坦地。広々とした田園とそこに散在する集落が、同町の景観の大きな特徴となっている。
 しかし、同町では近年、久留米都市園におけるベッドタウンとして都市化、混住化が進展。また、核家族化の進行、労働力の他産業への流出により、農業就業者の高齢化が顕著となっており、これらに対応した農業農村環境の整備が必要となってきている。
 そこで同町では、「緑」と「水」を生かした全町公園化、「水沼の里づくり」を目指した「水と緑と花のネットワーク」づくり、また、「三潴町農村高齢者ビジョン」を策定するなど高齢者対策を進めている。
 この事業は、こうした三潴町の事業とも連携し、総合的な農村生活環境の整備とともに、都市と農村の交流促進のための条件整備を、町内全域にわたって進めていくものである。
事業の概要
 町内の農用地の整備が既に完了していることから、農業生産基盤と関連を持つ農村生活環境の整備を総合的に実施する。
 特に、住民の要望が強い、地域の資源を活かした農村公園やアクセス遊歩道、水辺環境整備を、高齢者・障害者にも配慮しながら重点的に進めている。
 また、都市と農村の交流促進のための用地整備も行い、活力ある農村地域社会の発展に取り組む。

▲「水沼の里2000年記念の森」正面エントランス ▲集落水辺環境整備工事により整備された歩道