建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年12月号〉

シリーズ
わが国の農業 ─福岡県編─

地域産業を支え、地域の活性化を促す整備を推進

飯塚農林事務所


▲鳥羽池の噴水

 福岡県飯塚農林事務所の管轄区域は、県の中央部に位置する直鞍、嘉飯山、田川の3地域にまたがる盆地である。飯塚市、直方市を中心とした4市20町1村は、四方を山系に囲まれ、遠賀川が南北を貫流し、その支流に沿って周辺には山麓が広がっている。この地域では盆地の地形と、夏季高温、冬季低温の気候を生かした米・野菜・果樹・花きの栽培、畜産、林業と1次産業が広く行われている。飯塚農林事務所では現在、1次産業を補完する整備事業を行っているほか、産地育成事業や構造改善事業を積極的に進めている。

中山間地域総合整備事業(南嘉穂地区)

 県のほぼ中央に位置する嘉穂町は、遠賀川の源流をなす自然環境に恵まれた地域であり、日本書紀にも「鎌の屯倉」として現れる歴史の古い町である。産業は、梨・林檎の観光農業を中心とした果樹栽培が盛んに営まれており、この地域において最も盛んである。事業は農業基盤を総合的に整備し、生産体制の充実と特産品化を促進することを目的に、ほ場整備を重点的に進めている。また、地域リーダーの育成を中心とした交流基盤の整備も行い、地域活性化を図っている。

水質保全対策事業(鳥羽池地区)

 庄内町の鳥羽池地区では、農業用ため池で、富栄養化で水質の悪かった鳥羽池に水質浄化施設の一つとして噴水を建設した。噴水は水を空気と触れさせることによって浄化機能が高まる作用がある。これにより水質の改善を図ると共に、夜には噴水はライトアップされ、市民の憩いの場として、鳥羽公園の新しいシンボルとなっている。

県営ほ場整備事業(佐与地区)

 嘉穂郡頴田町の佐与地区では、軟弱地盤地帯の基盤整備とともに、農業農村活性化計画を進めている。この地区は兼業農家の減少と同時に高齢化が進んでいる反面、大型機械の普及率が高く、過剰投資による農業経営の圧迫が問題になっている。この計画では生産組織を設立することによって担い手を育成すると共に、農地・農作業を集約して経営規模の拡大を促しつつ、生産組織を育成し、個人所有農業機械の削減及び生産コストの低減による農業経営の安定を図ることとしている。

ふるさと水と土ふれあい事業(津原地区)

 穂波町津原地区の農業用用排水路は生活様式の高度化、多様化に伴って、水質の悪化や親水機能の低下をきたし、農業用水の確保及び水質保全が急務となっていた。
 同地区では農業用用排水路の整備を、農業のみならず地域住民活動の活性化に役立てることを目的としている。環境に留意した水路整備を進めることで、自然学習の場として子供たちの観察学習や、地域振興会、老人会などの非農家も含めた地域住民全体による水路の維持保全活動も推進する。この取り組みからは町が助成している「穂波町ホタルの里振興会」による初夏のホタル観会、落水時の魚のつかみ取り、地域住民による水路の土砂取り除き作業などが派生し、地域住民活動の和が確実に広がりつつある。

▲鳥羽公園 ▲津原地区