〈建設グラフ2000年10月号〉

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特集 中部地方建設局 小里川ダム工事事務所

小里川ダム・自然との共生をめざすジオファイバー工法を採用

地域に開かれたダムへ

建設中の小里川ダムは、伊勢湾に注ぐ庄内川(土岐川)と小里川の合流点から上流8.3kmに位置する。ダム流域は、過去幾多の洪水被害が相次いだことから、ダムに対しては人々の大きな関心と期待が寄せられてきた。
ダムは昭和50年に改定された「庄内川水系工事実施基本計画」に基づき着工。庄内川の洪水調節、河川環境の保全等のための流量の確保、及び発電を目的とする多目的ダムとして、その完成が待たれるところである。
自然との共生
自然との共生をめざす小里川ダムは、ジオファイバー工法を採用し、岩盤法面の植樹を行い、植生の復元を図っている。
ジオファイバー工法とは、連続した長繊維(ポリエステル)を高水圧で砂に噴射混入することによりせん断強さの増強を図り、より安定した強固な土構造物を構築する三次元的な補強土工法である。
この工法は平成7年度特定技術活用パイロット事業に認定され、堤体掘削及び原石山掘削により発生する岩盤法面の保護、長期的な植生復元のための基盤造成を目的とし、堤体下流法面においても採用されている。
経済効率、安全性も重視
小里川ダムはまた、堤体コンクリート打設を主にrcd工法によって行っている。
この工法は、単位セメント量が少ない、極めて固く練ったコンクリートをダンプトラックなどで運搬したうえで、ブルドーザーで敷き均し、さらに振動ローラを用いて締固めるもの。従来工法に比べ大量打設を可能にし、工期の短縮・省力化を実現。また、安全性も飛躍的に向上する。
地域に開かれたダムへ
小里川ダムの周辺には、鬼岩公園、日本大正村など多くの観光地があり、名古屋からも日帰り圏内にある。
このため、ダムを地域の「顔」としての交流拠点とし、自然を活用したレクレーション活動の場として位置付けるため、ダム周辺4地区毎にそれぞれのテーマを設け、整備を進めている。整備コンセプトは、「見て、聞いて、感じる、ふれあいといこいの里 小里川ダム」。
なお、小里川ダムは、平成9年7月31日付けで「地域に開かれたダム」に指定を受け、平成11年11月19日に整備計画が認定された。

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