建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2005年5月号〉

特集

「3環状9放射」コンセプトの一翼を担う一大事業・首都圏中央連絡自動車道の建設が進む

都心に集中する業務機能を分散させ、首都圏全体の発展に大きく貢献

国土交通省関東地方整備局 千葉国道事務所 首都圏中央連絡自動車道

▲空撮(海を望む)
▲1工区空撮
首都圏中央連絡自動車道(以下、圏央道)は、東京都中心部から半径約40km〜60kmの位置に計画されている延長約300kmの高規格幹線道路である。  
同路線は3環状9放射のコンセプトの一翼を担う環状道路で、常磐道や東北道、関越道、中央道、東名高速など、都心から放射方向にのびる主要な幹線道路と接続して、首都圏の広域ネットワークを形成する。 これが完成すれば都心近郊の交通を適切に分散導入し、渋滞の緩和による走行時間の短縮が可能となる。
さらに横浜、厚木、八王子、川越、つくば、成田、木更津などの業務各都市をはじめとする中核都市が連絡されることで、都心に集中する業務機能を適切に分散させ、地域開発を促進。関東圏全体の発展に大きな役割を担う。さらに災害などで通行不能な区間が生じても、代替ルートが確保されるため、緊急物資の輸送や災害救助活動等の交通路が確保できる。
千葉県を元気に快適にする圏央道
圏央道は、房総半島のほぼ中央、千葉県を背骨のようなかたちで走っており、「ちば新時代」をつくる基盤整備として位置づけられる。東京湾アクアラインや東関東自動車道(館山線、水戸線)、千葉東金道路と接続して新たな交通軸を形成し、地域の活性化、快適な観光・レジャーに寄与するなど、千葉県のバックボーンとなり、地域づくりを支援する。
特に千葉県では新しいちばづくりの基礎となる「成田国際空港都市」や「かずさアカデミアパーク」、「幕張新都心」等を中心に国際的な交流、研究開発、物流の集積などの拠点づくりを目指している。
千葉県内の事業進捗状況
千葉県内の圏央道は大栄jct(仮称)から東金icまでを除く区間で事業が進捗中だ。以下に各区間の整備効果を検証する。
@神崎(茨城県境)〜大栄(東関道「水戸線」)
神崎〜大栄区間(延長約10.7km)は、都心から放射状に延びる東関東自動車道や常磐自動車道と相互に連絡する環状道路を形成する。これにより新東京国際空港(成田)や筑波研究学園都市へのアクセスが便利になり、国際的な物流機能の集積や国際会議など、国際交流の拠点性の高まりが期待される。
また、神崎町・下総町・成田市・大栄町には豊富な開発用地があり、これらの地域が活性化することで都市機能の分散が図られるなど、北総地域の発展に大きく寄与するものとなる。
A東金(千葉東金道路・千葉東金道路二期)〜茂原(茂原・一宮・大原道路「長生グリーンライン」)
東京湾アクアライン及び千葉東金道路と連絡し、高規格幹線道路を形成。地域の重要な交通基盤として機能し、円滑な道路交通の確保を図る。
また房総半島の中央に位置する茂原市、長南町、長柄町、千葉市、大網白里町、東金市を横断し、放射道路と連絡。南房総や外房のリゾート地域への利便性の向上、長生・山武地方拠点都市地域基本計画などを支援し、房総半島の均衡ある発展に貢献する。
B茂原(茂原・一宮・大原道路「長生グリーンライン」)〜木更津
東京湾アクアライン及び東関道(館山線)などとアクセスし、高規格幹線道路のネットワークを形成する。また地域の重要な交通基盤として機能するとともに円滑な道路交通の確保を図り、房総半島との中央部に位置する木更津市、袖ヶ浦市、市原市、長南町、茂原市を横断する。
加えて放射状道路と連絡することにより、房総半島の周遊性の高いリゾート地域を形成し、かずさアカデミアパークへのアクセスを支援。国際的な研究開発都市の形成を促進する。
▲東金icjct空撮
▲第3トンネル(施工中)
環境への配慮
千葉県内の圏央道沿線には地域固有の豊かな自然が残されているが、圏央道の整備はこうした自然環境に十分配慮しながら工事を進めている。沿線では千葉県が重要保護生物に選定したオオタカの営巣が確認されており、専門家による「千葉圏央道猛禽類保全対策検討委員会」を設け、保全対策について検討している。
さらに道路用地内に生物の生息環境を提供するビオトープの整備、生息域を分断しない目的でエコロードの整備などを行い、自然環境と道路との共生を目指す。
▲ドングリ拾い
▲インフォメーション
環境体験学習会を実施
圏央道と地域の自然環境との調和や共生を目指した取り組みのひとつとして、「千葉圏央道環境体験学習会」が行われている。学習会では地元小学生の参加により、圏央道の予定地周辺からドングリが集められ、鉢植えされる。なお、育てられたドングリは1〜2年後に苗木として植樹され、圏央道の緑化に役立てられる予定だ。
圏央道インフォメーション館
平成16年4月にオープンした「圏央道インフォメーション館」では、圏央道についての説明パネルやインターチェンジの模型、工事写真などを掲示し、圏央道に関する情報発信を行っている。昨年12月には来場者が1,000人に到達。地元住民や現場見学の学生を中心にたくさんの来場者が訪れている。
千葉圏央道のトンネル
千葉県内の圏央道は房総半島の丘陵地を横断するため、数本のトンネルが計画されている。このうち、千葉圏央道ではじめてのトンネル工事となる真里谷第4トンネル(l=900m)が昨年7月から、真理谷第3トンネル(l=180m)が8月から行われており、第3トンネルは3月に貫通したところだ。
君津平川線と交差する袖ヶ浦市上宮田地区
県道君津平川線と圏央道が交差する袖ヶ浦市上宮田地区では、長さ約150mの高架橋を建設中だ。またこの付近では上宮田台遺跡などがあり、工事の実施にあたっては事前に埋蔵文化財の調査を行っている。現在は橋梁下部工の工事を進めており、今後は上部工の工事を進める予定だ。
小櫃川を横切り、国道410号バイパスと繋がる木更津インターチェンジ
圏央道が小櫃川と一般国道410号バイパスを通過する付近には、木更津インターチェンジが設置され、国道410号バイパスと接続される。現在は橋梁や盛土の工事を中心に進めているところだ。今後は料金所等のインターチェンジに関わる工事を進める。
▲上宮田橋 ▲小櫃川橋 ▲410号bp橋
▲木更津jct(空撮)
木更津ジャンクション
木更津ジャンクションは東京湾アクアラインと東関道(館山線)、そして圏央道を直接結ぶ結節点となる。工事中は既に開通している東京湾アクアラインや東関道の通行に支障のないよう、安全に配慮して工事を進める。現在は橋梁と構造物の工事を進めているが、今後は構造物工事に併せて切土や盛土などの土工工事を進める。
千葉県内の主要なプロジェクト
成田国際空港都市
世界35ヶ国、9地域91都市と結ばれている日本の表玄関である成田空港の機能を最大限に生かし、国際物流拠点機能の集積と先端技術産業を核とした臨空ゾーンを形成する。国際交流の拠点性を高めるとともに、国際空港都市の実現を目指している。
幕張副都心
成田空港と東京都心の中間に位置する利便性を活かし、国際展示場、会議場、イベントホールから幕張メッセと企業、ホテル、野球場、住宅により21世紀の複合都市を形成し、東京湾臨海部における新都市の実現を目指す。
かずさアカデミアパーク
東京湾アクアラインをはじめ、東関道、圏央道などと結ばれることによって、首都圏の重要な交通拠点となる上総丘陵に、民間の研究所を核にエレクトロニクス、新素材、バイオなど、先端技術産業の国際的水準の研究開発拠点を形成し、首都圏における新しい研究開発都市の実現を目指すものだ。
▲成田国際空港都市 ▲幕張新都心 ▲かずさアカデミアパーク
つくばエクスプレス沿線各都市のまちづくりと産業拠点の整備
平成17年8月に開業するつくばエクスプレスとの一体的整備により、沿線地域に自立性の高い特色あるまちづくりを進めるとともに、東京大学柏キャンパスや産業支援機関となる東葛テクノプラザを核として、産学官連携によるバイオやナノテクノロジー分野をはじめとした先端技術産業の拠点形成を目指す。
千葉県内の圏央道整備に貢献
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