建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年12号〉

特別編集企画(建設グラフインターネットダイジェスト同時掲載企画)

筑 波 大 学

開学30周年(創基131年)記念特集

わが国の文教施設整備最前線

開学30周年を迎えて

筑波大学学長 北原 保雄


 筑波大学は、昭和48(1973)年10月に「新構想大学」として設置され、本年10月1日に開学30周年(創基131年)を迎えることになりました。本学の起源を遡ると、明治5(1872)年にわが国初の師範学校として発足して以来、東京高等師範学校、東京文理科大学、そして東京教育大学、さらに筑波大学へと発展を続け、今年で131年になります。このような長い伝統と実績に加え、近年の大学院博士課程の改組再編、昨年10月の図書館情報大学との統合、医療技術短期大学部の改組による医学専門学群での看護・医療学類の創設など、大きな改組にも取組んできました。
 一方、近時、社会状況が大きく変化し、大学を取り巻く情勢は誠に厳しいものがあり、平成16年度からの国立大学法人化を含めて根本的な改革が求められています。本学もこれから、研究・教育の展開に不断の努力を行っていきますが、特に長い伝統と新構想大学における大学改革の実績とを踏まえて、21世紀においても日本の高等教育及び学術研究全体の改革の先導的役割を果たし、国内外に貢献できるように改革を進めてまいります。
 開学30周年(創基131年)を本学の更なる発展のスプリング・ボードとすべく、「開かれた大学」などの建学の理念を踏まえ、「研究者養成と高度専門職業人養成を併せ持つ大学院重視の大学」をはじめとする基本的なあり方を設定し、整備を目指しています。
 本学の施設・環境については、開学以来の施設に加え、新しい教育・研究拠点も創設し、多くの研究成果をあげています。また、大学院重点化に対応したいくつかの新しい施設も建設あるいは計画中であります。一方では、施設の老朽化への対応が緊急の課題となっています。大学としての中身の充実とともに、バランスのとれた器つくりを目指して施設・環境の整備を進めているところです。


筑波大学の施設整備計画について

筑波大学副学長
施設委員会委員長 冨江 伸治


 筑波大学は、筑波キャンパスだけで敷地258ha、延床面積約68.4万m2に及ぶ施設を有しています。開学以来30年の経過のなかで、先端学際領域研究センターや、大学院の改組再編に伴う総合研究棟などの新しい施設も次々に建設し、部分的に建てづまりの状況が生じてきました。一方、建物の50%以上は築後25年が過ぎ、老朽化が進んでいます。
 このような状況に対し、キャンパスならびに施設・設備の見直しを行い、既存施設の老朽化にも対応しながら再整備を行う必要を感じ、平成12(2000)年9月に全学的な施設委員会において「キャンパス・リニューアル計画」の策定が決められました。策定作業は、委員会のもとにリニューアル計画部会を設け、5つのwg(ワーキンググループ)を組織して案をつくり、全体の調整を経て、平成14(2002)年3月に報告書としてまとめられました。wgは計画対象ごとに、「マスタープラン」「建物・設備」「交通システム」「景観・緑化」「サイン・アート」からなり、教員と施設部が中心となって構成されました。
 リニューアル・マスタープランでは、整備課題や計画条件等を整理したうえで、計画のフレームから具体的なアクション・プランまでが示され、将来に向けてのキャンパス像が提示されています。計画コンセプトでは、当初のマスタープランを尊重し、既存施設・環境を最大限に活用しつつ進めるとされ、目標の一つとして「…本学の特徴がよく表現でき、全体の調和のなかで各組織それぞれの『顔』も見えるような計画」が掲げられています。
 計画の実現にあたっては、国費(概算要求)によるほか、ボランティア等の活用、pfiなど民間資金の導入など幅広く考え、アクション・プランを逐次実行していくとされています。また、学生の参加も積極的に求め、既に実施した学内食堂(3カ所)や学生控室(5カ所)などの改修では多くの学生が計画作りから実施作業まで直接参加しました。



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