〈建設グラフ1999年1月号〉

十勝の中核都市・帯広市のまちづくり事業を見る

北海道帯広市は、人口17万人余を擁し、十勝圏における地方拠点都市としての機能強化を図るべく、「ゆとりとやすらぎ」のある生活環境の向上を理念に各種の基盤整備事業を進めている。

【建築事業】
建築事業は、消防庁舎の移転改築と中学校校舎の改築をはじめ、新設小学校の新築と市営住宅の高層住宅への建て替えが実施されている
災害時の新しい拠点施設として老朽化に伴い移転改築している「消防庁舎」は、新耐震設計基準の1.25倍の強度を誇り、司令室には、銀行のコンピューター室などに多く用いられている「床免震構造」を採用している。
このほか、建築後約30年が経過した「帯広第一中学校」の校舎を改築しているほか、新西帯広区画整理事業に伴い、児童数が増加した開西小学校から分離する「つつじが丘小学校」の新築工事を実施している。
また、平成9年度から始まった高層耐火構造10階建ての市営住宅「柏林台団地(北町)」の建替事業は、6棟・360戸の内、4棟.・240戸を建設している。
この事業は、10階建てという高層建築のため、ランドマーク的な意味合いを持たせるなどの特徴がある。
【水道事業】
十勝中部広域水道企業団からの本格受水が平成11年度から始まる水道事業は、この受水のための整備を急ピッチで進めている。
【下水道事業】
平成10年度末で普及率が94.7%に達している下水道事業は、川西、愛国、大正の各地区で特定環境保全公共下水道事業が進められている。
この事業は、平成7年度にスタートし、平成11年度の完成を目指しているが、すでに平成9年度には一部で供用を開始している。
計画人口は2,600人、計画面積が98haとなっている。
【土地区画整理事業】
同市は、急激な都市化による無秩序な宅地化を抑制し、生活環境を整え、衛生的で安全な宅地開発を推進するため、土地区画整理事業を実施している。
住居・工業・商業・流通など、各種の目的に対応した土地の供給と、道路・公園・下水道などの生活基盤の整備と改善を行っている。
現在、JR帯広駅周辺地区において、「歩きたくなる街・人に優しい街づくり」をテーマに市施行の土地区画整理事業を展開している。
この事業に伴い、駅南口では市の地域交流センター「とかちプラザ」(平成7年オープン)をはじめ、JRの「ホテルノースランド帯広」(平成9年オープン)、民間企業によるマンションなどが建設されている。
また、北口では、市の「地下駐車場」の建設をはじめ、既存ホテルの移転なども、新設される道路事業に先んじて行われている。

【帯広市の事業】

消防庁舎 帯広第一中学校
帯校橋 春駒橋 水道部圧力調整弁

【帯広厚生病院救命救急センター等病院整備工事】

北海道厚生農業協同組合連合会

北海道厚生農業協同組合連合会(厚生連)は、十勝地域における救急医療の中核と災害時の拠点医療機関として、免震構造と屋上ヘリポートを有する「帯広厚生病院救命救急センター等病院整備工事」を実施している。
この救命救急センターは、関連する外来及び入院部門も併せて整備している。これは、21世紀に予想される地域住民の高齢化などの社会的ニーズに対応したより高度な病院機能の拡充を図ることとなる。
救命救急センターは、新規に開設する診療科を基盤とし、第三次救急医療として、24時間診療体制での診療を行う。これにより、頭部損傷をはじめ、脳卒中、急性心筋梗塞などの救急患者に対する高度医療を提供する体制が整うことになる。
救命救急センター棟は、平成9年10月16日から平成11年4月30日までを工期とし、現在建設中。構造・規模は、鉄骨鉄筋コンクリート(一部鉄筋コンクリート)造、地下1階、地上7階(塔屋1階)建て、延べ床面積19,742.21u。
一方、南玄関ホール棟及び内部改修工事は、玄関ホール棟、医療ガス庫、東棟渡り廊下に分かれており、救命救急センター棟の完成後(平成11年5月1日)から平成12年3月31日までを工期としている。


HOME