建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2020年7月号〉

 副局長インタビュー 釧路総合振興局・根室振興局

自然災害から人命・財産を守る防災対策や道路整備強化で基幹産業の農水産物の流通・観光アクセス向上を図る

 空知総合振興局(建設管理部担当) 兼 石狩振興局 副局長
河合 龍寿
 かわい・たつひさ
 浦河町出身、北海道大学卒業
 平成元年 北海道職員採用
 平成28年 胆振総合振興局室蘭建設管理部地域調整課長
 平成29年 オホーツク総合振興局網走建設管理部事業室長
 令和元年6月 建設部河川砂防課長
 令和2年4月 現職

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせください
河合 釧路・根室管内は、釧路湿原や阿寒摩周、知床といった3つの国立公園のほか、3つの道立公園があり、また、新鮮な魚介類が豊富にとれ、有数の酪農地域であるなど、豊かな自然を背景とした農水産業が盛んで、国内はもとより、海外からも多くの観光客が訪れるなど、まさに北海道の強みである「食」と「観光」を育む地域となっています。
 道東自動車道が阿寒インターまで開通しているほか、国において整備が進められている高規格幹線道路では、本年3月に根室道路の温根沼~根室インター間が開通し、産業発展や観光活性化のさらなる向上が期待されています。
 釧路建設管理部では、地域経済を支える豊かで潤いのある生活空間の確保に取り組むとともに、地域のみなさまの安全・安心な暮らしが守られるよう、地域と密着した社会資本の着実な整備・維持管理に努めてまいります。
 一方で、地域の実情を熟知し、地域の経済や安心な暮らしを支えるうえで重要な役割を果たしてきた建設産業を取り巻く環境は、少子化の進行などによる就業者の高齢化など、依然として非常に厳しい状況が続いており、新たな担い手の確保・育成が喫緊の課題となっています。引き続き、週休2日制の導入などの就業環境の改善やICTの活用による生産性の向上など、働き方改革の取り組みを推進し、建設産業の持続的発展に向けて支援を行ってまいります。
釧路川(別保工区)

── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
河合 釧路・根室管内は、これまで地震や高潮災害、台風による豪雨災害など、幾度も大規模な自然災害に見舞われてきた地域で、昨今は千島海溝周辺での巨大地震発生の可能性も指摘されており、自然災害から人命や財産を守るため、洪水や津波・高潮などに備えたハード・ソフト両面からなる総合的な防災・減災対策を進めていくことは極めて重要と認識しています。
 河川事業では、局所的な集中豪雨や台風などの異常気象から安全・安心な暮らしを守るため、釧路川では釧路川工区の浸水対策として引き続き築堤工や護岸工の整備を行うとともに、平成25年に甚大な浸水被害を受けた釧路町別保市街地等の治水対策として、別保川工区で河道掘削等の工事を進めています。また、標津川では築堤工などの整備を進め治水対策を着実に推進するとともに、多機関連携型水害対応タイムラインの策定に向けて取組を進めてまいります。
 砂防事業では、平成24年の集中豪雨により被害を受けた刺牛1号川において土砂災害から人家を守るための対策を実施しているほか、常時観測火山である雌阿寒岳において監視や情報伝達に必要な設備の設置などを進めてまいります。
 急傾斜地崩壊防止事業では、急傾斜地の崩壊から住民を守るため、釧路町老者舞地区や釧路材木町2地区など7箇所で事業を継続しています。
 海岸事業では、海岸侵食や高潮に加え、津波災害から国土を保全するため、霧多布海岸では津波対策として防潮堤の整備を継続していくほか、羅臼海岸では浸水被害を防止するための護岸の整備を、尾岱沼漁港海岸で高潮被害を防止するための整備を進めているところです。また、野付崎海岸では砂嘴の侵食防止を図るため消波堤の整備を引き続き実施します。
薫別川北線

── 令和2年度予算執行にあたり北海道の基幹産業の農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺いします
河合 地域の基幹産業である水産業の核として漁港整備を進めているところであり、尾岱沼漁港では、屋根付岸壁施設など衛生管理型漁港の整備を引き続き実施します。また、老朽化が著しい琵琶瀬漁港では、機能が低下している施設の保全工事を行うほか、散布(火散布)漁港では、大型化した漁船に対応する漁港の整備を進めてまいります。
 道路事業では、農水産物の輸送、観光アクセスの向上や緊急輸送ルートの確保を図るため、幹線道路網の充実に向けた取組を進めており、薫別川北線の線形改良を進めるほか、釧路鶴居弟子屈線の旭跨線橋などの橋梁補修を進めてまいります。
 街路事業では、安全で円滑な交通と歩行者空間の環境改善を図るため、3・4・14西町通や3・3・5鐺別通において、現道拡幅などの改良工事を進めてまいります。
尾岱沼漁港

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時における復旧対策を担う建設業界へ要望・期待などお聞かせ下さい
河合 地域の建設産業に携わる皆様には、公共施設に係る調査設計から、建設工事、維持管理、除排雪、更には災害時における緊急対応や災害復旧に至るまで、様々な役割を担っていただいており、深く感謝しております。
 今後とも、地域の安全・安心の確保に欠かせない建設産業の持続的な発展に向け、「北海道建設産業支援プラン2018」に沿って建設産業振興のための取組を進めるとともに、安定的な公共事業予算の確保にも努めてまいりますので、建設産業に携わる皆様におかれましても、活力ある地域づくりに一層貢献されていただくことを期待しています。

HOME