建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2020年7月号〉

 副局長インタビュー 十勝総合振興局

自然災害から地域・住民を守る防災対策強化や物流・観光拠点へのアクセス道路の整備で十勝の農業・観光支える

 北海道 十勝総合振興局 副局長(建設管理部担当)
関 俊一
 せき・しゅんいち
 新ひだか町出身、北海道大学大学院 工学研究科修了
 平成5年4月 帯広土木現業所(採用)
 平成12年5月 留萌土木現業所 遠別出張所道路係
 平成15年7月 建設部都市計画課 区域・施設グループ
 平成20年4月 網走土木現業所 事業部道路建設課舗装係長
 平成22年4月 建設部土木局道路課 道路計画グループ 主査
 平成25年4月 総合政策部政策局主幹
 平成27年4月 建設部建設政策局建設管理課技術管理グループ 主幹
 平成29年4月 上川総合振興局旭川建設管理部事業室長
 令和元年6月 建設部土木局道路課高速道・市町村道担当課長
 令和2年4月 十勝総合振興局副局長(建設管理部担当)(現職)

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせください
 十勝管内では、平成28年8月の台風等による大雨により、堤防の決壊、河川の溢水・越水、橋台洗掘、道路決壊、土砂流出等が相次ぎ、極めて甚大な被害が発生しました。復旧事業は終わりつつありますが、防災・減災に向けた河川整備など進めるべき事業が多いため、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 前任の高速道・市町村担当課では、高規格幹線道路の中央要望などに携わりましたが、他都府県と比して本道の高規格幹線道路の整備状況が遅れている状況です。地域の利便性や安全のため、高規格幹線道路は必要不可欠であり、今後は道東・十勝から、国に対して事業促進を要請してまいります。
 技術職員不足への対応として、十勝では全道に先駆けて出張所の職員を事業課に集約させてきました。緊急時には事業課から管内全域へ迅速に職員を送り込める体制を整え、地元市町村と連携しながら、地域住民の安全・安心を確保していきたいと考えております。
川西芽室音更線(帯広市)

── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
 近年の気候変動により、自然災害の多発化、激甚化する傾向にある中、地域住民の皆さま方の安全で安心な暮らしが守られるよう的確な防災対策を行うため、河川・砂防などの災害防止施設の整備はもとより、沿岸部における道路の越波対策や地震時の避難に配慮した道路整備、また、海岸では津波対策としての高潮対策事業を行うとともに、災害や危機管理に迅速かつ的確に対応できる人材の育成に努めてまいります。
 新型コロナウイルスへの対応としては、受発注者間の協議に基づく工期の見直しやこれに伴い必要となる請負代金額の変更、監理技術者等の交代など、必要なサポートを行ってまいります。
豊頃糠内芽室線(幕別町)

── 令和2年度予算執行にあたり北海道の基幹産業の農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺いします
 十勝は、雄大な日高山脈を背景に、豊かな自然と暮らしが織りなす美しい風景を有する十勝平野が広がり、日本を代表する食糧供給基地としての役割を担うとともに、温泉、ガーデン、体験施設など様々な観光が楽しめる、多様な魅力と活力ある地域です。
 このような地域の特性を踏まえ、十勝総合振興局では「十勝連携地域政策展開方針」を策定し、その実現に向けて、「食の拠点」とかち強化プロジェクトなどを戦略的な取組として掲げております。
 当建設管理部としては、プロジェクトの推進に向けて、川西芽室音更線、豊頃糠内芽室線、清水大樹線など物流拠点、ICへのアクセス道路の整備や、帯広浦幌線など観光拠点へのアクセス道路の整備、ウツベツ川、ペンケオタソイ川など環境に配慮した河川・砂防の整備を重点的に進めてまいります。
ペンケオタソイ川(新得町)

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時における復旧対策を担う建設業界へ要望・期待などお聞かせ下さい
 建設業界は、社会資本整備を通じて地域の安全・安心を担い、雇用と経済を支える地域に密着した存在であるとともに、災害時においては、長年培われた経験と高い技術力や保有機材を活用して応急対応活動にあたるなど、地域社会に大きく貢献されています。
 また、近年においては国や道、市町村のみならず、自衛隊、警察、消防との連携強化が要請されるなど、建設業界が災害時に担う役割はますます強まっております。十勝総合振興局では、一般社団法人帯広建設業協会と「災害時における応急対策業務に関する細目協定」を締結し、平成28年8月の台風をはじめとした異常気象の際には、24時間体制での交通誘導や河道の切替えなど、道からの要請に基づく二次災害防止を目的とした緊急かつ応急的な措置を講じていただいているところです。
 今後とも、建設業界におきましては、地域の社会資本整備を通じて地域経済の活性化につなげていくとともに、「災害に強い地域づくり」に向けて、たゆまぬ技術力の研鑽と人材育成に努められ、地域貢献活動などを通じて地域に密着し、地域から信頼され、一層活躍されていくことを期待しております。

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