建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2020年7月号〉

 副局長インタビュー オホーツク総合振興局

物流の効率化と観光振興に資す道路ネットワーク拡充やインフラ整備と防災対策の強化を進める

 北海道 オホーツク総合振興局 副局長(建設管理部担当)
木村 英也
 きむら ふさや
 昭和41年6月1日、埼玉県出身
 平成4年3月 北海道大学大学院修了
 平成4年11月 北海道庁入庁 土木部空港港湾課
 平成29年4月 道庁総合政策部社会資本課長
 平成30年4月 道庁総合政策部計画推進課社会資本担当課長
 令和元年6月 道庁建設部建設政策局建設管理課技術管理担当課長
 令和2年4月 現職

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせください
木村 近年、大きな被害をもたらしている台風をはじめとした自然災害に対し、ハード・ソフト両面から防災対策を進めていくことが重要だと考えています。  特に力を入れたいこととして、管内では全国・全道を上回るスピードで人口が減少しているなか、社会インフラの整備・維持管理や災害時の緊急対応等に加え、地域経済を支える重要な役割を担っている建設業が持続的に発展していけるよう、働き方改革への対応や生産性の向上の取組に対する支援を積極的に進めていきたい。  オホーツク管内は世界自然遺産に登録されている知床地域や、ラムサール条約登録湿地に指定された濤沸湖など、恵まれた自然環境を有しています。  この恵まれた自然環境と調和を図りながら、地域住民が安全・安心に暮らせ、地域の産業や観光を支える道路、河川、漁港などの基盤が整ってのことであり、地域の声をしっかり聞いて色々な分野の方々と連携しながら良質な社会資本の整備を推進してまいります。
本別留辺蘂線(交692)交安工事:松谷建設(株)

── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
木村 オホーツク管内は、かつては年間降水量も少なく災害の少ない地域でしたが、平成28年に管内でも大きな被害をもたらしました台風をはじめ、各地で交通が寸断される暴風雪などによる、自然災害が社会経済活動に大きな影響を及ぼしていることから、このような自然災害に対して、住民の安全安心を確保するため、河川整備や土砂災害対策などのハード対策を推進するとともに水害から命を守る「水防災意識社会」の再構築に向け関係機関相互の情報共有や災害対応の連携などの取組を推進してまいります。  また、道路利用者の安全確保のため、タイムラインによる通行規制などに取り組む他、道路パトロールの強化にも取り組んでまいります。
車止内川砂防工事:南建設(株)

── 令和2年度予算執行にあたり北海道の基幹産業の農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺いします
木村 道路事業では、管内や管外との交流促進や物流の効率化、観光振興などに資する道路ネットワークの拡充整備に努めるとともに、「橋梁などの老朽化対策」、「危険箇所の解消」、「地域医療を支援する道路整備」などの整備を引き続き進めてまいります。
 治水関係事業では、安心できる国土の形成(安全)、自然環境と調和した生きている川づくり(うるおい)、個性あふれる地域づくりと連携強化の支援(活力)、人と水のかかわりの再構築(ふれあい)の4本柱に基づき進めてまいります。
 漁港関係事業では、漁港漁場整備長期計画第4次(H29~R3)に基づき物流効率化やHACCPなどの品質・衛生管理にも対応する漁港施設の整備を進めてまいります。
 また、海岸整備では、侵食を防止して国土保全に努めるとともに、人命・家屋・財産を高潮、波浪などから守るため事業を進めてまいります。
令和2年度(2020年度)の主な事業計画

〇道路事業
 北見置戸線(訓子府町)では、バス停車帯設置を含めた道路拡幅を継続してまいります。
 本別留辺蘂線(置戸町)では、交通事故対策として設置している中央分離帯の工事を、今年度の完成を目指し進めてまいります。
 工事が本格化している北見端野美幌線(美幌町)では、道路拡幅を引き続き進めてまいります。
 津別陸別線(津別町)では、道路拡幅を引き続き進めてまいります。
また、構造物の長寿命化を目的として橋梁29箇所、トンネル2箇所、シェルター1箇所で補修等の工事を進めてまいります。
〇街路事業
 3・5・51川東通(北見市)では、常呂川に架かる長大橋の上部工工事が昨年度完成し、今年度の供用を目指し前後道路の工事を進めてまいります。
〇都市公園事業
 開園から23年が経過したオホーツク公園(網走市)において、長寿命化計画に基づき、時代のニーズに対応した公園としての長寿命化やバリアフリー化、再整備工事を継続して進めてまいります。
〇空港事業
女満別空港(大空町)において、滑走路端安全区域の調査・設計を進めてまいります。
〇治水事業
 河川事業では近年の大雨による多大な洪水被害に対処するため、平成28年度の大雨出水で被害の大きかった無加川(北見市)や斜里川(斜里町)の改修整備を進めています。
 また、佐呂間別川(佐呂間町)、芭露川(湧別町)、オコツナイ川・ポンオコツナイ川(雄武町)などの河川について、水辺や周辺の環境に配慮しながら改修整備を進め、洪水被害の解消に努めます。
 砂防関係事業では土石流などの土砂災害を防止するために、右の沢川(網走市)、支湧別川(遠軽町)などで自然環境や景観に配慮しながら施設整備を進めるとともに、土砂災害警戒区域の指定を行い、「危険の周知、警戒避難体制整備への支援」などのソフト対策を進めてまいります。
〇漁港・海岸事業
 漁港事業では水産流通基盤整備事業として、沙留漁港(興部町)、沢木漁港(雄武町)について、衛生管理型への対応を行いながら静穏対策等の漁港施設整備を進めてまいります。
 さらに、海岸事業では、越波の著しい元稲府漁港海岸(雄武町)、常呂河口漁港海岸(北見市)で整備を進めてまいります。

佐呂間別川広域河川改修工事(芭露川工区)1工区(補正)(明許):興和建設㈱

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時における復旧対策を担う建設業界へ要望・期待などお聞かせ下さい
木村 公共施設の整備や維持管理はもとより、災害時の対応などに関して、この地域に精通した建設業界の方々の高い技術力や施工能力は大変重要であり、建設業は我々の目的を達成するには、なくてはならない重要なパートナーであると認識しております。
 今後も、蓄積された技術・知識・人材等の持てる力を遺憾なく発揮していただき、このオホーツク地域をさらに魅力のある地域にしていただきたいと願っています。

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