建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2020年6月号〉

【寄稿】

鞠山南地区国際物流ターミナル整備事業に
基づく-14m 岸壁の整備で活気づく敦賀港

―― 北海道・九州との結節点となる敦賀港

 国土交通省 北陸地方整備局
 敦賀港湾事務所 副所長 千葉 明裕


撮影:令和元年11 月

 敦賀港湾事務所は、福井県を管轄地域として、2017年度に福井港海岸事業が完了し、現在は敦賀港において直轄事業を行っています。

■敦賀港の沿革

 敦賀港は、1899年の開港以来、1912年の欧亜国際連絡列車運行(新橋駅~金ヶ崎駅)により、シベリア鉄道を通じてヨーロッパ各国に直結する国際港として発展してきました。
 戦後、1951年に重要港湾に指定され港湾整備が進められました。
 1970年にフェリー航路(小樽港)の開設、2002年にRORO船航路(苫小牧港)の開設、2019年にRORO船航路(博多港)の開設、2010年には釜山港と国際RORO船航路が開設されるなどしています。
 また、1990年に釜山港との外貿定期コンテナ航路が開設され本格的なコンテナの取扱が始まり、2015年には内貿定期コンテナ航路としては日本海側初となる大竹港(広島県)との航路が開設されました。敦賀港は近畿圏、中京圏といった大都市圏と近い立地から、福井県など北陸地域だけでなく、中日本全体と北海道・九州などを結ぶ日本海側の結節点となっている港です。

フェリー、RORO 船の着岸状況(鞠山北地区)

■鞠山南地区国際物流ターミナル整備事業

 1996年より鞠山南地区国際物流ターミナルの整備を進めており、2010年には鞠山南地区国際物流ターミナルが供用され、主に内貿・外貿コンテナを取り扱っている他、福井県内で整備が進められている北陸新幹線の資材などが荷揚げされています。

敦賀港事業概況

 敦賀港では、北海道との物流は活発で、2012~2015年にかけてフェリーやRORO船航路に大型新造船が投入され、取扱貨物量が増加しています。さらに、バイオマス燃料として木質チップの取扱が始まり、新たなシャーシヤードやチップヤードを確保する必要がある中、十分なヤード用地が確保できないなど、同地区が非常に狭隘化している状況にあります。このため、苫小牧RORO船航路を移転するとともに、敦賀港全体でふ頭用地を再編しヤードを確保するため、福井県と共に鞠山南地区国際物流ターミナルを延伸し、新たな岸壁とふ頭用地を整備しています。
 また、2019年4月、金ケ崎地区において博多港とのRORO船航路が開設され、敦賀港で積み替えることで北海道・九州間を中2日で輸送することが可能となりました。しかし、金ケ崎地区から鞠山北地区までは約2km離れている中、北海道航路・九州航路両方のRORO船が同時に敦賀港に着岸している時間は1時間程度しかなく、多くの積み替えは困難な状況です。苫小牧RORO船航路の鞠山南地区移転後は約0.3km以内まで短縮されるため、積み換えの大幅な効率化が図られることになります。
 2023年春の北陸新幹線敦賀延伸にあわせた敦賀市内の再開発や、今年度、開港120年を迎えた年に九州との新規航路が開設され、敦賀港への期待がより一層高まっていることを感じます。敦賀港を結節点とした物流網の発展に向け、安全を確保しながら事業を進めてまいります。

整備が進む国際物流ターミナル


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