建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2020年3月号〉

【topics】

2020年度北海道開発予算(案)は総額6392億円で8年連続増額に
北海道開発事業費は前年比0.4%増の6275億円を計上

―― 2020年度は臨時特別継続と19年度補正加算15か月予算で開発事業費は7853億6300万円

2020年度 北海道開発予算

はじめに

 2020年度政府予算案は、一般会計総額は19年度比1.2%増の102兆6580億円で、8年連続で過去最大を更新した。政府予算案は1月20日召集の通常国会において年度内成立を見据え審議に入った。また、2019年度の第2次補正予算(政府案)は、相次ぐ災害からの復旧・復興や東京五輪後の経済維持TPPによる農業水産業支援関連などを重点に編成され、今国会で成立した。北海道関連ではTPP対策・整備事業費を重点に、胆振東部地震を受けたことから災害対策費等が組み込まれている。
 一方で2020年度北海道開発予算は通常予算5748億3500万円と臨時・特別措置として644億3800万円が合算され総額6392億7300万円(前年比13.2%増)となった。その内、北海道開発事業費は通常予算5631億400万円(前年比1.5%増)で臨時・特別合算では6275億4200万円(前年比13.2%増)で8年連続の増額となった。 2020年度北海道開発予算案
 2020年度北海道開発事業費の主な内訳(本予算)では、治山治水事業で1023億9600万円(前年比2.9%増)、道路整備で2183億9000万円(同比9.8%増)、港湾空港鉄道等で287億5000万円(同比20%減)、農林水産基盤整備1177億3900万円(同比0.4%増)の計上となっている。さらに、防災対策推進を重点に置いた、臨時・特別予算措置として、治山治水に211億3600万円、道路整備に106億4100万円、港湾空港鉄道等35億5500万円、農林水産基盤整備160億300万円など合計644億3800万円が計上された予算(案)編成となった。

主な事業

 北海道開発予算は、2016年4月にスタートした第8期北海道総合開発計画(2016年度〜概ね2025年度)で「世界の北海道」を目指し、世界に目を向けた戦略的産業を振興するともに、これを担う「生活空間」の維持・発展を図るべく「農林水産業・食関係の振興」「世界水準の観光地の形成」「強靭で持続可能な国土の形成」を推進するための社会資本整備等を北海道開発の重点項目にあげている。
 5年目の今年も「食と観光」の戦略的産業振興を基軸に事業を推進するが、北海道胆振東部地震をはじめ北海道における大規模自然災害からの復旧・復興。今後も懸念さされる災害に備えて防災・減災、国土強靭化を見据えた予算となっている。また、民族共生象徴空間(愛称:ウポポイ)が令和2年4月一般公開され、年間来場者100万人を目指す。
 事業別では、道路関連(道路整備・道路環境整備)では高規格幹線道路整備として、後志自動車道倶知安〜余市道路、函館新外環状道路、帯広・広尾自動車道虫類大樹〜豊似間、北海道横断自動車道陸別町陸別〜小利別間、尾幌〜糸魚沢間(厚岸町)、北海道縦貫自動車道士別剣淵〜名寄間など観光地へのアクセス道路、物流ネットワークの整備を図る。
 治水事業では、石狩川水系ペーパン川(旭川市)の緊急治水対策として河川災害復旧関連緊急事業による河道掘削事業を継続するほか、石狩川、十勝川、天塩川等で洪水氾濫を防ぐ河川改修を推進。また、大規模水害・土砂災害に備え北村遊水地整備(岩見沢市)、十勝川水系戸鳶別川第2号砂防堰堤(帯広市)、平取ダム建設推進、樽前山覚生川2号砂防堰堤(苫小牧市)の整備を進める。
 ダム再生の新規事業として、「雨竜川ダム再生事業」、「佐幌ダム再生事業」の実施計画調査に着手する。さらに、北海道胆振東部地震への対応として「日高幌内川における水路工や砂防堰堤工の整備を実施する。
 港湾空港事業では、世界水準の観光地の形成として国内外の観光客の受入機能強化で新千歳空港、釧路空港では空港施設の整備を図る。また、函館港、小樽港でクルーズ船受け入れ環境整備で大型クルーズ船に対応するため岸壁の整備を進める。釧路港では外郭施設や水域施設の整備で国際バルク戦略港として安定・効率的輸送の実現を目指す。石狩新港で防波堤延伸を進める。
 水産基盤整備では、岩内港港湾施設整備、紋別港の屋根付き岸壁など各港湾・漁港においても耐震岸壁整備、静穏度対策などの事業を推進する。
 農業基盤整備では、農地の大区画化・汎用化、排水改良等農地整備と会わせ地下水位制御システム化の新たな技術導入し省力化や低コスト化、農業収益力の向上を推進し、地域農業の振興を図る。主に、東宗谷地区で国営農地再編事業、「今金地区」のほ場の大区画と暗渠排水改良整備、ニセコ地区で農地大区画や傾斜・排水改良。北見では北見二期地区国営かんがい排水事業に着手する。


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