建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2020年2月号〉

【寄稿】

ICT法面に向けた自動化・省人化技術と安全教育VRのご紹介

―― 省人化して生産性を高める技術と安全性を高める技術

 ライト工業株式会社 西日本支社
 渦ヶ森地区1工区斜面対策工事 現場代理人・監理技術者
柳本 暁


1.はじめに

 ライト工業では、労働力不足が深刻な社会問題になる中、従来機械の自動化、技能者の負担軽減や省人化、生産性と安全性向上がその問題の解決策と捉え、i-Construction対応技術開発に力を注いでいます。従来機械の自動化や次世代型の安全技術の開発は技能者の負担軽減や省人化に繋がるだけでなく、生産性と安全性の向上にも寄与すると考えています。本寄稿では当社が、近畿地方整備局六甲砂防事務所管内で活用したi-Construction対応技術と安全教育VRについてご紹介致します。

2.自動吹付システム(Automatic-Shot)

 Automatic-Shotは、吹付プラントを1名で稼働できる自動吹付システムです。吹付機とセメントサイロ、計量器搭載ミキサーを自動制御することで、全ての機械が連動して材料を計量する吹付プラントの自動化を実現させました。リモコンによる遠隔操作が可能であり、ホースの閉塞時は自動で吹付機を停止します。材料の計量値は監視システムに施工記録として蓄積され、何時でも確認が可能です。省人化した技能者は他の作業に従事可能なことから、生産性向上が図れます。

3.安全教育VR

 安全教育VRは、バーチャル現場から危険なポイントを探し出す新感覚の安全教育ソフトです。CGで再現されたバーチャルな現場に入り込むことで、まるで実際の現場にいるかの様な体験が可能です。法面篇には、4つのコースが準備され、それぞれのコースで現場に潜む危険ポイントを探し出すモードと技能者の間違った発言を探し出す2つのモードで現場を仮想体験しながらクイズ形式で安全学習ができます。当作業所では、法枠工や鉄筋挿入工等の法面作業が主体となるためこの安全教育VRを活用して安全性の向上を図り労働災害防止に繋げています。

4.おわりに

 ICT法面に向けた自動化・省人化への取り組みの1つとして、従来の吹付プラントを1名で稼働させつつ、材料の計量監視による施工記録が可能な吹付施工管理システムの「Automatic-Shot」についてご紹介しました。今後はICT法面の実現に向け、吹付プラントの自動化や施工管理のみならず出来形管理を可能とする吹付工全体の管理システムとして確立させることが必要と考えています。また、安全教育VRでは、引き続き、3D-VRの特長を活かした疑似体験型の気づき教育によって、危険な行為に対する感受性向上を図りつつ関連法規や当社ルールの理解度向上につなげていく所存です。
 建設現場では労働力不足への対応や休日確保といった働き方改革に迫られ、省人化や省力化に加え生産性の向上を可能とする新たな技術開発が求められています。現場を担当する我々も、現場ならではの視点による柔軟な思考を持って、新たなイノベーションの発展に貢献すると共に魅力ある建設現場を実現し笑顔あふれる業界にしたいと考えています。


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